開催中の展覧会
2016年1月4日(月)〜2月14日(日) 会期中無休
 工芸にみる石川の巨匠 −芸術院会員・人間国宝の名品選−

工芸にみる石川の巨匠
 

 全国には、伝統として息づいている多くの工芸品の産地があり、それぞれの地域の文化的個性をみせています。なかでも石川県は、藩政時代より今日まで、すぐれた工芸品が生み出されてきました。
 特筆されるのは、陶磁・漆工・染織・金工・木竹工など、工芸のさまざまな分野で、全国に名を馳せる作家を輩出してきたことです。物故者を含めると、文化勲章受章者4名、文化功労者5名、日本芸術院会員6名、重要無形文化財保持者(人間国宝)22名と全国的に見ても東京・京都とならんで上位の位置を占め、本県工芸の質の高さを物語っています。
 工芸王国と称される石川の風土は江戸時代加賀藩前田家歴代藩主の積極的な文化施策のもとに培われてきました。明治に入ると地場産業としての各種工芸活動が展開され、明治末から大正・昭和前期にかけて工芸作家が育っていくことになります。戦後もいち早く美術文化活動が展開され、今日の美術工芸王国を形成するに至っています。
 本展は北陸新幹線開業一周年を迎え、石川県の芸術文化の個性ともいうべき、文化勲章、文化功労者、芸術院会員、重要無形文化財保持者など、最高の技術を有する作家達の優れた作品約100点を一堂に展示し、石川工芸世界の魅力を鑑賞していただこうとするものです。

◆入場料(全館料金-2階コレクション展示室料金もご覧になれます)
    ※団体は20名以上、当館友の会会員は会員証の提示で団体料金となります。
  個人 団体
一 般 800円 600円
大学生 600円 400円
高校生以下 200円 100円

作品リストはこちらから→     作品リスト(pdfファイル)はこちらから

◆工芸にみる石川の巨匠 関連イベント
1月17(日)
13:30〜
 講演会「石川の工芸−巨匠たちの思い出と裏話」
 
   講師 嶋 崎  丞 石川県立美術館館長
会場:美術館ホール(定員209名) 先着順・聴講無料
毎週日曜日  ギャラリートーク 会場:1階企画展示室 予約不要・要観覧料
11:00〜  担当学芸員が、展覧会の見どころや作品について解説します。
 
日曜日  ビデオ上映会 会場:美術館ホール  入場無料
13:30〜  作家の制作風景や作品紹介のビデオ『北陸の工芸作家 石川の匠たち』を上映します。
1月10日 ・「炎と土と色 どうして蘇すか 文化勲章受章者・浅蔵五十吉」 (20分) 
・「極光 人間国宝 寺井直次」 (25分)
1月24日 ・「即是色 人間国宝 三代德田八十吉」 (24分) 
・「和光 人間国宝 大場松魚」 (29分)
1月31日 ・「漆が呼ぶ里 −人間国宝・塩田慶四郎−」 (24分)
・「邂逅 −人間国宝武・隅谷正峯−」 (24分)
2月 7日 ・「道 木工芸・人間国宝 灰外達夫」 (45分)
2月14日 ・「木魂(きのこころ) 人間国宝・川北良造」 (24分)
・「土火への祈り 大樋焼十代大樋長左衛門」 (23分)
  土曜講座  13時30分〜    会場:美術館講義室   聴講無料
第20回 1月 9日 石川県の芸術院会員 人間国宝(1) 寺川 和子 学芸専門員
第21回 1月16日 米沢弘安 中澤 菜見子 学芸員
第22回 1月23日 石川の文化財(2) 谷口 出 学芸第一課長
第23回 1月30日 石川県の芸術院会員 人間国宝(2) 寺川 和子 学芸専門員

 


開催中の展覧会
 2階 前田育徳会尊敬閣文庫分館・第2〜6展示室 12月10日(木)〜2月14日(日)
前田育徳会
尊經閣文庫分館
第2展示室 第3展示室 第4展示室 第5展示室 第6展示室
新春を寿ぐ
新春優品選(古美術)
新春優品選
(絵画・彫刻)
干支の造形
(絵画・彫刻)
新春優品選
(工芸)

干支の造形
(絵画・彫刻)


 第1展示室 (2F)

 開館中常時展示  国宝色絵雉香炉・重文色絵雌雉香炉   色絵雌雉香炉


 新春を寿ぐ
前田育徳会尊經閣文庫分館
平成27年12月10日(木)〜平成28年2月14日(日) 12月28日(月)〜1月3日(日)は休館
 

 今回の特集は、年末年始の休館を挟み、来年2月14日までのほぼ2か月にわたります。そこで、作品保護の観点から1月15日閉館後に一部の作品を入れ替える前・後期の構成となります。
「新春を寿ぐ」というタイトルから作品を選定するとなれば、まず干支をモティーフとしたものはおさえておく必要があります。そこで今回は、干支の申にちなみ《猿置文鞍》(江戸時代)と《白玉馬猿文鎮》(中国・明時代)を展示します。いずれも猿単独ではなく、馬と関連しているところが興味深いところですが、猿が馬を守ったり、馬の病気を治したりするという、インドから中国を経て日本に伝わったとされる信仰を反映しているようです。また、陰陽五行説から猿は水気の動物として、火災防除の役割も期待されていました。今回の2点は、これまで何度も展示されたものですが、その御利益とともに改めて注目いただきたいと思います。
続いては、「天神様」です。12月25日の終天神と1月25日の初天神は、1年の中でも盛大な天満宮の縁日であることと、今回の会期が「道真忌」を前に終了することから、《縄敷臨水天神画像》、《渡唐天神像》、《胞輪天神画像》の3点を展示します。学問の神であるとともに復讐の神でもある天神は、菅原道真の後裔と公言した加賀藩主・前田家の文化政策の重要な精神的支柱でした。さらに今回は、初釜にちなむ茶道美術や、広義の吉祥モティーフを様々なジャンルから選び、ご来館をお待ちしております。

 

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 新春優品選—古美術—
 第2展示室
  平成27年12月10日(木)〜平成28年2月14日(日) 12月28日(月)〜1月3日(日)は休館

 

 新年を迎えるにあたり、年末から年始にかけて新春にふさわしい作品を展示します。来年は「申年」で、動物にあてはめると「猿」になります。申年に因んだ作品としては、久隅守景の《猿回し図》と狩野宗益の《百鶴百猿図》です。猿は、古代エジプトや中国など世界各地で神聖なものと考えられてきました。日本でも神の使いと捉えた例があります。猿が「去る」に通じることから、難が去る縁起の良い芸として正月などに盛んに行われるようになり、大道芸として広がっていきました。また、猿は馬の守護神と考えられてきたので、厩の魔除けや厄病除けとしても重宝されました。
次に、岸駒の《兎に福寿草図》や加賀友禅の《宝船文のれん》(前期のみ展示)に代表されるような縁起の良い作品が登場します。さらには、茶道美術では野々村仁清の《梅花図平水指》(重文)をはじめ、宮崎寒雉の《福寿海尾垂釜》、《青貝福禄寿図香合》、《古赤絵金襴手仙盞瓶》のほか、茶碗や花入、香合など初釜の季節に相応しい作品を展示します。また、宋時代の精緻を極めた陶磁器の名品などを合わせて展示しますので、年末の慌しい季節ではありますが、美術館で「忙中閑あり」の一時をお過ごし下さい。
なお、展覧会の会期が長期にわたるため、前期と後期の展示替えを行います。後期の展示では、平成25年度に修復を終えた重文《西湖図》(秋月等観筆)を修復後初公開いたします。

 

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 新春優品選—絵画・彫刻—   第3展示室
  平成27年12月10日(木)〜平成28年2月14日(日) 12月28日(月)〜1月3日(日)は休館 
 

日本画、油彩画、彫刻の分野から、優品を選んでご覧いただきます。

 

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 干支の造形—絵画・彫刻—  第4・6展示室
  平成27年12月10日(木)〜平成28年2月14日(日) 12月28日(月)〜1月3日(日)は休館 
 

 平成27年(2015)年もあとひと月足らずとなりました。未年の年賀状を書いたのがつい昨日のように思われるのではないでしょうか。来年はもちろん申年。そこで、今年の年末から明年にかけ、絵画と彫刻などで干支の動物たちを描いた特集展示を行います。
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥、つまり、ねずみ・うし・とら・うさぎ・たつ・へび・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・いのししを、画家や彫刻家たちはどのように描き、また造形したのでしょうか。
 主な作品を紹介しますと、日本画では牛を描いた中出信昭《遙か》、安嶋雨昌《牛》、虎を描いた木島桜谷《咆哮》、油絵では南政善の大作《馬並ぶ》、金岩清隆《軍鶏》、田辺栄次郎《見ざる、聞かざる、言わざ
る》、これは言うまでもなく猿ですが、生き物ではありません。吉田冨士夫の《トラ・トラ》、吉田のトラはかわいらしく、張子の虎のようにも見えます。
 庄田常章の《竜のハナ唄》は自画像とも思えるのですが、竜の造形ともみなせ、ちょっとひねった作品です。彫刻では石川光明の《犬》、海野美盛《猪》、木村珪二には、犬をテーマとした作品が数多くあります。清水良治の《見果てぬ夢 ドンキホーテ》、長谷川八十の《軍鶏》いずれも、シャープな造形です。石川彫刻の大家吉田三郎にはウサギや犬を題材にしたものが多いのですが、山羊もまた多くあります。果たして山羊は未(羊)にいれてもいいのでしょうか。

 

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 新春優品選—工芸—    
 第5展示室
 平成27年12月10日(木)〜平成28年2月14日(日) 12月28日(月)〜1月3日(日)は休館    
 

 近現代工芸の展示室では、新春を迎えるにあたって、ふさわしい作品の数々をご覧いただきます。本稿ではその一部をご紹介したいと思います。
まずは陶芸分野、今年生誕120年を迎えた中村研一の《紅梅図皿》。中村は福岡県出身の洋画家ですが、晩年に初代德田八十吉の窯で九谷の絵付けを行いました。ふっくらとした筆線やムラのある独特の色の塗り方は洋画家ならではと思わせますが、単なる余技に終わらない出来映えです。
漆芸分野からは、吉田楳堂《堆朱手元箪笥》。堆朱とは、さまざまな色の漆を何層にも塗り重ねたあとに彫ることによって断面に色の層をみせる、彫漆という技法の一種で、表面が赤色のものを指します。本作は、箪笥の外面は朱漆で、中の抽斗部分は黄色の漆で塗られています。透かし彫りされた側面からは、黄、黒、黄、朱の美しい漆の断面を見ることができます。
金工分野では、板坂辰治《青銅器「瑞鳥」》を出陳します。板坂は金沢市生まれ。東京美術学校で清水亀蔵
や高村豊周に鋳金を学び、戦後は金沢美術工芸専門学校の教官となりました。本作は、方形を基本としながらも自由に弧を描いた躍動感のある形が特徴で、向かい合う二羽の鳩のモチーフが鋳出されています。大胆な器形で青銅器の可能性を感じさせる意欲的な作品といえましょう。
この他にも、染織、木竹工、人形の各分野から優れた作品を展示します。どうぞ美術館で、年末年始のひとときをお過ごしください。


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