今回の特集は、年末年始の休館を挟み、来年2月14日までのほぼ2か月にわたります。そこで、作品保護の観点から1月15日閉館後に一部の作品を入れ替える前・後期の構成となります。
「新春を寿ぐ」というタイトルから作品を選定するとなれば、まず干支をモティーフとしたものはおさえておく必要があります。そこで今回は、干支の申にちなみ《猿置文鞍》(江戸時代)と《白玉馬猿文鎮》(中国・明時代)を展示します。いずれも猿単独ではなく、馬と関連しているところが興味深いところですが、猿が馬を守ったり、馬の病気を治したりするという、インドから中国を経て日本に伝わったとされる信仰を反映しているようです。また、陰陽五行説から猿は水気の動物として、火災防除の役割も期待されていました。今回の2点は、これまで何度も展示されたものですが、その御利益とともに改めて注目いただきたいと思います。
続いては、「天神様」です。12月25日の終天神と1月25日の初天神は、1年の中でも盛大な天満宮の縁日であることと、今回の会期が「道真忌」を前に終了することから、《縄敷臨水天神画像》、《渡唐天神像》、《胞輪天神画像》の3点を展示します。学問の神であるとともに復讐の神でもある天神は、菅原道真の後裔と公言した加賀藩主・前田家の文化政策の重要な精神的支柱でした。さらに今回は、初釜にちなむ茶道美術や、広義の吉祥モティーフを様々なジャンルから選び、ご来館をお待ちしております。