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−花鳥山水画を描く−
梶野玄山の小世界
   
会 期 平成7年2月1日〜2月21日
主 催 石川県立美術館
展示室 第8・第9展示室使用
   
 梶野玄山は、松任市に生まれ、小学校を卒業後、当時飛騨高山から金沢に来ていた四条派の画家垣内右りんに師事し、その後さらに画業精進すべく京都に赴き、四条派の鈴木松年の門下に学んだ画家である。
 玄山は、円山四条派の伝統的写生を基本に、中国北宗画、あるいは狩野派の細密画法など幅広い筆法を駆使するなど、彩色豊かな独自の画風を開き、多くの優れた作品を生み出したが、特に孔雀絵図、青緑山水図が得意であり、久迩宮家を初め多くの皇族家から御下命を受けるなど、数多くの献上画を描いた。しかし、その主な活躍の場は京都であったため、郷土でその画業を紹介する機会はこれまでほとんどなかった。今回、氏の代表作をまとめて展示することによって、その画業を再評価することを目的に開催したが、会期中新聞、テレビ等で取り上げられ、地元松任市ではその画業を顕彰しようとする動きも出るなど関心も高まり、意義のある展覧会であった。

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没後10周年記念
鴨居玲展
 
 
会 期 平成7年4月22日〜5月14日
主 催 石川県立美術館
後 援 北國新聞社・北陸放送
協 力 日動美術財団
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 昭和60年に鴨居玲が死去して10年が経つ。本展は没後10年を機に開催したもので、金沢美術専門学校在学中の「自画像」から、最晩年の「肖像」「勲章」まで、油彩画・水彩画・素描、全127点を展示する大回顧展であった。
 《自画像の画家》として、現代にはまれな人間を描き続けた鴨居玲は、戦後の洋画壇においては特異な作家であった。そして鴨居自身もドラマチックな一幅の絵画作品ともいえ、いわば自己の存在をかけて描き続けたいつわりのない人間ドラマが、これら127点の作品を通して伝わってきた。
 没後幾度か回顧展が開催されてきたが、南米放浪時代の未発表作品も含めた本展は質量ともに最大のものであり、鴨居玲の画業をご覧いただく上では最良の展覧会であった。なお、本展はひろしま美術館、笠間日動美術館、千葉そごう美術館との共同展であり、これら4会場を巡回した。

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クレー家秘蔵
パウル・クレー展
   
会 期 平成7年6月3日〜6月25日
主 催 北陸中日新聞・石川テレビ放送・石川県立美術館
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 クレーの名はわが国において、親しく耳にするところであり、過去に度々その展覧会が開催され、多くの日本人を魅了してきた。本展は、クレー家の全面的な協力を得て開催したもので、繊細な感性と豊かな創造力で、独自の画風を展開したクレーのこれまで未公開であった作品を中心に、クレー家秘蔵のコレクションで構成した。
 バウハウスをはじめとするドイツでの活動期、ナチス政権下の思想的迫害によるドイツからの亡命、病魔との壮絶な戦い、最晩年の死をも超越する創造への情熱の中から生み出された、この巨匠の芸術の真髄に迫るもので、多くの鑑賞者を集めた。

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−珠玉の陶芸−
板谷波山展
 
 
会 期 平成7年9月3日〜9月24日
主 催 石川県立美術館・朝日新聞社
後 援 北陸朝日放送
協 力 東京国立近代美術館
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 本展は近代陶芸のパイオニアである板谷波山の没後最大規模の回顧展として、昭和38年に亡くなるまでの約60年にわたる歩みをたどるにふさわしい代表作品と図案及び下絵類によって構成したものである。
 展覧会は当館を含め、全国6会場を巡回したが、当館での金沢会場では特に陶芸家としての出発点となった金沢時代や、その後も含めて波山と石川県との関係をより一層浮かび上がらせることを目指して、別途追加展示も行った。具体的には、石川県工業学校時代の波山作品の追加と、当時の同僚作家の作品、並びに終生の助手となった小松出身の源田市松の作品である。
 本展こそは、日本近代陶芸史において指導的な役割を果たした波山の、魅力に満ちた作品群を堪能できただけでなく、波山と金沢とのゆかりの深さを改めて知ることのできた点で、多くの陶芸愛好者の関心を呼びおこし、高い支持を得たものとなった。

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平成7年度国立博物館・美術館巡回展
日本の美

 
会 期 平成7年9月28日〜10月26日
主 催 石川県立美術館・文化庁・石川県教育委員会・東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 本展は、文化庁の主唱により、国立博物館・美術館等が所蔵する貴重な文化財や美術作品を、全国のより多くの人々に広く親しんでいただけるよう企画されたもので、「日本の美」のタイトルのもとに国宝3点、重要文化財36点、重要美術品3点を含む161点を一堂に公開し、縄文時代の土偶から近代の美術まで、日本人が育んできた多彩で豊かな造形と繊細華麗な美の世界を九つのテーマで紹介した。
 また珠洲焼の「大壺」や、石川県内出土の「十一面観音菩薩坐像」「地蔵菩薩半跏像」「黒釉天目」、あるいは加賀新刀の大成者初代兼若の「短刀」、盛平作の「葡萄文象嵌鐙」、前田家伝来の「玳披釉飛鳥折枝文碗」、久隅守景筆の「王昭君」など、石川県にゆかりの深い作品も多数含まれたものであった。

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