リニューアルオープン記念の当館自主企画第2弾として、(財)前田育徳会のご協力をいただき、同会所蔵の文化財のなかから美術工芸品を中心として紹介する展覧会を開催いたします。昨年のリニューアルオープン時には同会所蔵の国宝の中でも、最も展示公開の問い合わせが多い国宝『土佐日記』を16日間の期間限定で公開しましたが、それは同会の文庫的性格を紹介するものでした。本展は、同会のもう一方の顔ともいえる美術工芸品を紹介するものです。本展では、加賀百万石の基盤を築いた初代藩主前田利家から五代藩主前田綱紀までの「歴史」を第一部とし、その時代に蒐集育成された幅広い美術工芸品による「加賀百万石の文化」を第二部とする展示構成で、国宝2点、重要文化財11点を含む約100件の作品によって、加賀藩前田家を紹介します。
徳川将軍家による幕藩体制は「武」から「文」への大きな時代転換をもたらし、百万石の外様大名である前田家にとっては殊に大きな転換点となりました。三代藩主前田利常は「文化政策」への挑戦により、大藩としてのプライドともいうべき存在意義を確たるものへと築き上げていきました。昨年没後350年をむかえた利常は、藩主という枠を超えて、日本の芸道ともいうべき深い精神性を極めた人物といえましょう。
本展では利常が蒐集育成した文化財を中心に、今日の加賀文化の礎をご鑑賞いただき、その豊かな伝統文化が21世紀の新たな文化創造の源となることを願って開催するものです。
なお、石川県における前田育徳会所蔵の名品による大規模な展覧会は、昭和38年以来46年ぶりですので、ぜひご覧下さい。 |