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学芸員コラムColumn

2020年2月3日展覧会#54 企画展「いしかわのおもてなし」のみどころ

 

石黒宗麿《梅華皮筒茶碗》当館蔵

 新春企画展「いしかわのおもてなし―屏風絵などの調度を中心に―」の会期も、いよいよあと一週間ほどになってきました。この展覧会の最後の展示室には、お茶道具の取り合わせコーナーを設けました。その主茶碗(お茶碗が複数ある時のメインとなるもの)に選んだのが、石黒宗麿《梅華皮筒茶碗》です。「かいらぎつつぢゃわん」と読みます。梅華皮とは本来、刀の柄や鞘を包むのに使う鮫皮の一種のことで、硬い粒状の突起が梅の花のように見えることからそのように呼ばれます。
 お茶碗における梅華皮は、釉薬がちぢれた様子のことで、見所のひとつとされます。本作は腰から高台にかけて均整のとれた控えめな梅華皮がみられます。ほんのり赤みを帯びた薄紫の釉調とあいまって、まだ寒いなか、ひっそりとふくらみ始めた梅の蕾のような、清らかな愛らしさを湛えています。
 替え茶碗として石黒宗麿《黒釉茶碗》、水指は華やかな紅白梅が咲き誇る寺井直次《金胎蒔絵水指「梅」》、シンプルな姿形に超絶技巧が光る築城良太郎《黒柿造千筋棗》を取り合わせました。2月11日(火・祝)までの展示となっております。ぜひ会場でご覧ください。(学芸主任 中澤菜見子)

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