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学芸員コラムColumn

2019年1月10日展覧会#40 高光一也の「秋」と新文展特選

企画展「石川近代美術の100年」関連連載その2 

 

高光一也《秋》の画像

高光一也《秋》石川県立工業高等学校蔵

 200号の大作です。巨大な積み藁を背に若い男女が憩う姿を描いています。でも、二人は顔を合わさず、あたかもはにかんであらぬ方向を向いているのです。
 作者はこの作品についてこういう思いを述べています。
「この頃、東京の画家たちに「モダンガール」を絵の題材に選ぶことが流行のようでした。私の周りは「モダン」には縁の遠い農家ばかりという環境でしたから、見馴れぬものを描くよりもと考えました。 少々クラシックだが藁を積み上げて、東京にないハイカラで対抗してみようと、私なりに身構えたようです」
 8年に帝展に出品した《ミシン台の婦人》が落選し、9年、10年は出品を控え、この年11年に満を持して文展鑑査展に出したのが本作《秋》でした。
 剛直な線描と大振りな面で捉えた人体は、審査員達を驚かせ、後に雑誌の批評で特選候補となったことを作者は知り、大いに奮起したといいます。翌12年第1回新文展に同傾向の積み藁に男女4名が憩う《藁積む頃》を出品し、特選を得ることとなるのです。(普及課長 二木伸一郎)

 

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