Loading
画面を読み込んでいます

学芸員コラムColumn

2018年6月17日その他【美術館小史・余話6】開館記念名宝展開催

開館記念名宝展図録

※本コラムは平成12年から平成16年にかけて、当館館長・嶋崎丞が「石川県立美術館だより」において連載したものの再録です。

 旧石川県美術館の開館式の様子については、すでに述べたとおりであるが、今回はその時の展覧会についてお話ししよう。
  「開館記念名宝展」(昭和34年10月13日〜11月15日)の出品点数は115点、そのうち国宝が4点、重要文化財が27点、重要美術品が7点。さらに展示された時は未指定品であったが、その後重要文化財になったものが3点、県指定文化財になったものが4点あり、全出品点数の約4割が指定文化財やそれらと同等の質の高い美術品で占められていた。
  これらの美術品の中には、いわゆる前田育徳会が所蔵する尊經閣文庫のものは一切含まれておらず、大部分は県内の所蔵家の美術品であった。このことを見ても、石川県がいかに多くのすぐれた美術品が所在する、日本でも有数の地域であるかということが理解され、県内外から多くの観覧者が訪れていた。
 この時只1点県外から借用した美術品があった。仁清の雌雉香炉である。
 今は水野冨士子氏より寄贈され、国宝の雄雉香炉と一対になって常時展示されているが、開館を飾るビッグイベントとして実現させようということになり、大きな話題を呼んだ。仁清の彫塑的な名作雌雄の香炉が一対の形として展示されたのは、これが初めてであった。

(嶋崎丞当館館長、「石川県立美術館だより」第207号、平成13年1月1日発行)

ページの最上部へ