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学芸員コラムColumn

2017年1月22日展覧会#022 襲名だよ、全員集合!

襲名(しゅうめい)とは、子や弟子が、親または師匠などの名前(名跡)を継ぐこと。歌舞伎において襲名は、昔も今も一大イベンP12290トです。歌川国貞《改名祝儀當酒盛》(かいめいしゅうぎあたるさかもり)は、万延元年(1860)7月に行われた襲名披露公演後の宴会を描いています。この時は、初代中村福助が四代目中村芝翫を襲名しました。中央手前、扇子を広げて話しているのが四代目芝翫です。上の方には祝儀の品々の目録が所せましと貼られています。

ところで、四代目芝翫やその背後の年若い役者、そして給仕の女性たちが同じ柄の着物を着ていることにお気づきでしょうか。shimaこれは、4本の縞に鐶(金属製の取手)で「しかん」と読ませる芝翫縞という模様。現在、襲名披露公演を行っている八代目芝翫も、この芝翫縞を使っています。他にも、イ菱や裏梅、祇園守など、芝翫の屋号である成駒屋ゆかりの紋が各所にちりばめられ、襲名の晴れがましさを演出しています。

さて、四代目芝翫といえば幕末明治を代表する立役です。しかし近年は、どちらかというと、女方のイメージが強い名跡でした。今度の八代目芝翫は、久方ぶりに立役の芝翫です。浮世絵に描かれた四代目と、今まさに活躍する舞台上の八代目。展覧会場にて、芝翫比べをしてみてはいかがでしょうか。
(中澤菜見子)

画像 上:歌川国貞《改名祝儀當酒盛》 下:芝翫縞

 

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