今月の美術館だより
 第221号 平成14年3月1日発行


●美術館小史・余話20  嶋崎 丞(すすむ) 当館館長

広報活動の開始(2)

 ダイレクトメール方式の葉書送付による広報活動の効果は大きかった。
 あっという間に広がりを見せ、多くの方々から申し込みを受けるようになり、600名で スタートした「美術館愛好会」の会員数も、1年半を経過した昭和43年の夏頃には、1000名を越えるまでになった。
 これを機会に、広報紙をぜひ刊行しようということになる。
 その頃美術館では、本館の施設の不備を補う意味で別館を建設中であった。会員が1000名を越えた9月に丁度落成開館、しかも当該年が開館10周年にも当たり、 これらを記念する意味でも、広報紙刊行の意義が大いにあるというわけである。
 
 名称については種々検討されたが、誰にでもよくわかるということで、「石川県美術館だより」とし、B 5判4頁、年4回発行の季刊方式でいくことに決定した。

 創刊号は昭和44年2月10日付けで刊行されたが、今あらためてそれを手にしてみると、今日の状況とは全く異なり、写真を含めて紙面は全くの白黒で、まことに貧弱そのものである。
 しかし、当時は広報紙をやっと持つことができたうれしさで一杯であった。
 表紙を兼ねた1頁目に何を掲載するかということも 議論になった。いわゆる行政の広報紙ならば、一般的にトップの人の挨拶文を載せている場合が多いが、美術館の広報紙であり、また別館の開館ということが刊行の一つの切っ掛けでもあったので、まずそれをトッ プに載せた。併せて収蔵品の第一である、国宝「色絵雉香炉」を掲載 して1面を飾る ことにした。
 多 くの県民の方からは大変な好評のお便りを頂き、刊行してよかっ たと思った。




だより創刊号

「石川県美術館だより」
創刊号
(昭和44年2月20日発行)