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高光一也の世界
  −館蔵品による−
          
   
会 期 昭和62年1月4日〜2月4日
主 催 石川県立美術館・北國新聞社
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 高光一也氏は、当館の開館を記念し、百余点の自作油彩画と水彩素描画を一括寄贈された。本展はそれら寄附作品の全貌を初めて公開することを目的としたものである。
 ことに高光一也氏が61年11月4日に文化功労者に顕彰されたことから、その記念展とすべく準備を進めていたのだが、直後の11月12日に急逝され、本展は結果的に追悼展となった。
  戦争をはさむ振幅の大きい昭和の画壇において、写実に基づく人物画で貫き通した高光氏の偉大な芸術の全貌を見る展観として、また劇的に逝去した氏にたいしての哀惜の念を表す意味で、多くの入館者を集めた展観であった。

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大名道具の至宝
徳川美術館名宝展
 
 
会 期 昭和62年2月15日〜3月8日
主 催 北陸中日新聞・徳川美術館・石川県立美術館
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   

 徳川美術館は、尾張徳川家に伝世したいわゆる大名道具を収蔵する美術館として広く知られている。
 
本展は62年10月徳川美術館が新館落成する事前の広報の意味を含めて開催された展観であった。
 とくに文化財が、本来大名の生活の中で、どのような形で用いられたかを示す総合展示方式をとり、展示室内に、書院の床の間や茶室を設け、その空間の場に文化財を展示した方法は、鑑賞者が、説明無しに感性的に理解することができ好評を得た。 また大名道具そのものも、表道具と奥道具の二つに大きく区分して見せ、近世大名の美の意識、それに歴史や文化までが再認識できる展観とあって多くの鑑賞者で賑わった。

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日本漆芸界の巨匠
松田権六展
   
会 期 昭和62年4月25日〜5月24日
主 催 石川県立美術館・西武美術館・日本経済新聞社・北國新聞社
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 日本の近現代工芸史を通じて、漆芸界の巨匠とうたわれた松田芸術の全貌を紹介した展観であった。
  松田権六氏は、明治29年金沢市に生まれ、幼少の頃より漆芸の手ほどきを兄より受けてこの道に入り、石川県立工業学校、東京美術学校のそれぞれ漆工科を経て、早くから才能を発揮し、日本漆芸界の指導者として活躍した。
 戦前には今日でいう漆の産業工芸としての仕事にも従事したことがあったが、戦後はその優れた技術が認められて、昭和22年には芸術院会員、同30年には重要無形文化財保持者、同38年には文化功労者、同51年には文化勲章を受章するなど、松田氏の歩みは、まさに日本漆芸近現代史の歩みそのものであったということができる。
 展示は、初期から最晩年の作品までをほぼ網羅し、松田氏の作品からにじみ出る伝統美の迫力は、会場を圧するものがあり、全国から多くの鑑賞者があって多大の反響があった。

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オランダ国立ライデン古代博物館所蔵
古代エジプト展
 
 
会 期 昭和62年5月29日〜6月21日
主 催 北陸中日新聞・古代エジプト展実行委員会・石川テレビ放送・石川県立美術館
後 援 オランダ福利厚生文化省・外務省・文化庁・石川県教育委員会・富山県教育委員会・福井県教育委員会・金沢市教育委員会
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 オランダ国立ライデン古代博物館は、イギリス大英博物館、フランス・ルーブル美術館などとともに、古代エジプト美術の収蔵品が、質量ともに充実した内容を誇っていることで知られている。
  本展はそれらの収蔵品を、日本で初めて公開するために、特に169点を選んで構成した展観であった。
 展示作品の大部分は墓からの出土品で、それを通して古代エジプト人が、何を考え、何を感じ、いかにして生計を立てていたかを探ろうとする、考古学の極めて学術的な展観であった。
 入場者の多くは、専門家、学生・生徒等の学校教育関係者で、古代エジプト美術の精神的な深さ、スケールの大きさに深い感銘を受けたようであった。
  なお入場者数は昭和62年度の最高記録であった。

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  25
第9回日本秀作美術展
 
 
会 期 昭和62年7月12日〜7月30日
主 催 読売新聞社・美術館連絡協議会・石川県立美術館
後 援 文化庁・石川県教育委員会・金沢市教育委員会・北陸放送
協 賛 花王株式会社
展示室 第7・第8・第9展示室使用
   
 昭和61年の1月から12月までの一年間に発表された日本画・洋画の中から70余点を厳選して構成した展観であった。
  一年間に開催される展覧会は、個展、グループ展、団体展、公募展を含め、極めて数が多く、それらをすべて鑑賞することは困難であり、そのギャップを埋め、今日の美術界の概況と動向を把握することを目的として企画されたのが本展であった。
 日本の画壇を代表する大家から新進気鋭の作家までの作品をほぼ網羅した展観とあって、極めて見ごたえのある内容であった。なお本展は企画されて本年で9回目に当たるが、北陸では初めての開催であった。

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