徳川美術館は、尾張徳川家に伝世したいわゆる大名道具を収蔵する美術館として広く知られている。 本展は62年10月徳川美術館が新館落成する事前の広報の意味を含めて開催された展観であった。 とくに文化財が、本来大名の生活の中で、どのような形で用いられたかを示す総合展示方式をとり、展示室内に、書院の床の間や茶室を設け、その空間の場に文化財を展示した方法は、鑑賞者が、説明無しに感性的に理解することができ好評を得た。 また大名道具そのものも、表道具と奥道具の二つに大きく区分して見せ、近世大名の美の意識、それに歴史や文化までが再認識できる展観とあって多くの鑑賞者で賑わった。