今日に美術界は、複雑化する現代社会を反映して、ますます多様化の方向や内容を有し、また芸術概念に変化や表現材料・技法の多様化にともない、従来からの各分野の区分でさえ次第に不明確となり、互いに滲透しあっているのが現状である。 こうした状況にあって、本県の美術の動向の熟視と今後の美術創作活動の向上発展に資するため、本展を企画開催することになった。 作家の選抜は、当館の自主性を打ち出すために、当館の学芸員の眼で、県内在住および県外で活躍している本県ゆかりの主として若手・中堅作家の中から、原則として昭和57・58年度にわたって発表された作品を選抜して開催した展観であった。保守性の強い本県の美術界に少なからず刺激を与えた展観であったと思われる。
「四季おりおり」ということばが実感として味わえるほど、日本は春夏秋冬、季節の移り変わりに恵まれている。そして古今を問わず、人はその自然の美しさに感動し、ある人は絵に、ある人は詩歌に託して表現し、多くの名作を残している。 このように日本人の美意識は、季節とともに変化する自然が産み育ててきたものということができる。 本展は、昭和50年2月から読売新聞日曜版に、カラー「日本の四季」というテーマで掲載された写真の原画のうち、日本を代表する作家の名作64点を選んで展示したもので、日本の近現代の巨匠の絵画を鑑賞するには絶好の機会であった。