今回は石川県ゆかりの作家の優品紹介です。彫刻部門の主な展示品では、輪島市出身の木戸修「スパイラルリング♯3」は何枚ものステンレス板を熔接し精密に形成したもので、素材の魅力を引き出したシャープで現代的感覚の作品です。金沢市出身の畝村直久「若い都会の女」は昭和7年（1932）第13回帝展特選作です。タイトルからもモガを連想するような華奢な体躯の女性を立体派的な面構成で表し時代背景を感じさせてくれる作品です。白山市生まれの山下晴子「SLIDE No.3」は白い大理石を少しずつずらしてリング状に繋げたように彫り出した作品です。理知的で緊張感ある空間を創出しています。
　石川の洋画家と言えば高光一也、宮本三郎、南政善、鴨居玲と名が上がります。中で、高光は唯一金沢に暮らして制作を続けた画家でした。「地方にいても中央の作家には負けない」という強烈な自信は、後進の大きな励みとなりました。亡くなったのは昭和61年11月12日、既に28年が経ちます。命日を機に、ほぼ10年を一区切りに展開した画業を、旧金沢駅コンコースを飾っていた大作「森の精」を交え、各時代の代表作により特集展示いたします。またライバル宮本と南の作品も複数展示し、石川の洋画壇を牽引した3人の画業を概観します。そして抽象画家として活躍した勝本冨士雄、田賀亮三の大作もぜひご覧下さい。
　このほか、金沢美術工芸大学出身の作家を中心に、石川ゆかりの日本画家の優品をご堪能ください。