コレクション展示 油彩  
第3展示室
  鴨居 玲 —道化師たち—   平成26年9月3日 水曜日〜9月23日 火曜日・祝日  会期中無休

 ほぼ毎年、鴨居の命日、9月7日前後に館蔵品と寄託品による特集展示を行っていますが、今回は、「道化師」をテーマにしました。
 鴨居の描く男性像には、いくつかのパターンがあります。安井賞を受けた「静止した刻」や「蛾と老人」などのベレー帽を被り黒いマントを着た男、スペイン時代の酔っぱらいや廃兵、帰国後に数多く描かれる自画像。ある時期にこうしたテーマが集中するのですが、道化師の場合は、「静止した刻」の頃からずっと折にふれ描かれています。白く化粧をして笑い顔を描いた道化師は、韜晦癖のある鴨居そのものであり、最後の自画像は顔を面であるかのように取り外し、のっぺらぼうになった「肖像」ですが、これは化粧を落とした道化師のより切実な姿というべきなのでしょう。
 さて、最晩年の自画像は鮮烈な赤をバックに描かれます。最晩年といっても57歳で鴨居は生を終えるのですが、実は鴨居の父の亡くなった歳と同じです。「1982年 私」を描いたとき鴨居は54歳でした。その段階で、もう描けないと白いキャンバスを前に茫然と腰かけているのです。しかし、その後の4年間の制作は、以前のテーマを再生産するものではありますが、印象深い充実した作品が続きます。赤をバックにする道化師もその中の1つです。では、バックはなぜ赤いのでしょうか。父の没年、その先には還暦が控えていると考えたとき、鴨居は自己の生まれ変わり、新たな誕生を赤いバックに込めたのでは、という想定も成り立つのではないでしょうか。鴨居の特集、ぜひご覧ください。

 第3展示室  特集 鴨居 玲 −道化師たち−
No. 作品名 制作年 分類 初出展・受賞
1 自画像 昭和24年 素描  
2 マネキン 昭和37年 油絵  
3 赤い老人 昭和38年 油絵  
4 群がる 昭和41年 油絵  
5 昭和42年 素描  
6 蛾と老人 昭和43年 油絵  
7 酔っぱらい 昭和46年 油絵  
8 月に叫ぶ 昭和48年 素描  
9 昭和51年 油絵  
10 教会 昭和53年 油絵 第32回二紀展
11 ピエロ 昭和55年 素描  
12 1982年 私 昭和57年 油絵  
13 蜘蛛の糸 昭和57年 油絵  
14 蜘蛛の糸 昭和57年 油絵  
15 酔って候 昭和59年 油絵  
16 出を待つ 昭和60年 油絵  
17 肖像 昭和60年 油絵  
18 首吊り 昭和60年 油絵  
19 自画像 昭和60年 油絵  
20 書簡(はがき、自画像)      
21 鴨居遺品      
 第3・4展示室  コレクション展示
第3展示室
No. 作品名 作者名 制作年 初出展・受賞
1 廃園 池田良則 平成16年 第36回改組日展
2 フードの女Ⅰ 高光一也 昭和47年 第4回改組日展
3 セーヌ川遠望 田辺栄次郎 昭和52年 第23回一陽展
4 印度の女 南 政善 昭和31年 第12回日展
5 熱叢夢 宮本三郎 昭和46年 第25回二紀展
6 双樹 村田省蔵 昭和55年 第12回改組日展
7 湖畔のはす田 森本仁平 平成7年  
8 交霊術・HARP 吉田冨士夫 平成8年 第50回記念二紀展 第50回記念賞
9 連理 脇田 和 平成6年 第58回新制作協会展
第4展示室
1 コレクション・囲まれた男 大場吉美 平成13年 第47回一陽会展
2 東雲 田井 淳 平成19年 第75回記念独立展
3 線の領域への風景 西田洋一郎 平成4年 第3回石川県作家選抜美術展
4 いざない'07-2 前田昌彦 平成19年 第81回国展
 
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