「近代の美術 —日本画を中心に—」  
前田育徳会尊經閣文庫分館
 平成26年 6月19日(木)〜7月27日(日) 会期中無休


 インターネットで「前田育徳会」を検索すると、本館がヒットすることもあってか、前田育徳会に関するご質問をよく頂戴します。中には東京からのお電話もあって、「東京の駒場にあります」とお答えすると、驚かれることも少なくありません。前田育徳会(非公開)は東京の駒場公園の隣にあり、駒場公園の中にある前田家が昭和初期に暮らした洋館と和館は、現在も一般の見学が可能となっています。  この和館にかつてあったのが、今回展示する橋本雅邦の襖絵です。東洋画の伝統的画題である「山水」を、四季の移ろいとあわせて描いた本襖絵は、元々前田家が駒場に移る以前に暮らした本郷邸建設(明治38年)に際し、制作されたものでした。
 本郷は、前田家が元和2年(1616)に拝領したと伝える由緒ある場所で、藩政期は大名屋敷として使用されていました。明治に入り、焼失、政府への返納など、流動的な時期を経て、明治35年にようやく本郷邸の新築が決まります。本郷邸も「西洋館」と「日本館」から成り、雅邦の襖絵は、日本館の座敷に用いられたのです。明治43年には、明治天皇の前田邸行幸が行われ、座敷は「蔵品陳列所」として使用されています。
 大正末に本郷邸の解放が決定し、新たに建てられたのが、現在駒場にある洋館と和館です。本特集では、本郷邸、駒場邸と使われ続けた本襖絵をはじめ、山元春挙、結城素明などの日本画を紹介します。

No 作 品 名 作者 数量
1 四季山水図襖のうち 橋本雅邦  
   冬景山水図   1面
   春景山水図   右4面
   夏景山水図   4面
2 秋景山水図 橋本雅邦 1幅
3 深山の冬 山元春挙 1幅
4 瀞峡時雨図 山元春挙 1幅
5 澄潭 結城素明 1幅
6 四季花鳥図 村瀬玉田・野村文挙・瀧 和亭・川端玉章 4幅
7 昭代名家画帖 橋本雅邦ほか 1帖
8 文殊菩薩画像 相川松瑞 1幅
9 観音像 岸浪柳渓 1幅
10 雌雄矮鶏 高村光雲 1対
11 竹取翁 米原雲海 1点

前のページへ