系譜で見る石川の絵画  第6展示室
 平成26年 6月19日(木)〜7月27日(日) 会期中無休 

 第6展示室では明治以降の洋画、日本画を系譜、系統という観点から紹介します。
 洋画では東京美術学校で洋画を学び、大正期に文展・帝展で活躍した遠田運雄、伊東哲らをまず1つの系統とし、次いでその下の世代になる高光一也と光風会系、そして宮本三郎と二紀会系の作家をご覧いただきます。
 ここでは最初の系統から伊東哲を紹介しましょう。
 明治30年に金沢第一中学(現泉丘高校)に美術教師として赴任した佐々木三六が洋画を普及し、彼の赴任期に遠田、伊東らは同中学から東京美術学校の西洋画科に進みます。今、NHKの朝ドラで九州の鉱山王に嫁いだ女性が出ています。後の歌人柳原白蓮ですが、伊東は彼女をモデルに「沈思の歌星」を描き帝展に入選しました。しかしそのことが売名行為と騒がれ画壇を去ることとなります。そして、従兄で台湾に東洋一のダムを築く八田与一に誘われて台湾に渡りダム記録画を描くのでした。石川洋画といえば、高光・宮本が著名ですがその先達にもユニークな画家は多くいるのです。
 日本画では日本画家が生き生きと活躍していた明治期から、主に金沢美大を卒業し画壇で活躍する現代作家までを、師系の観点からご覧いただきます。日本画が誕生した明治初期、依然として各流派が存在し、その筆法や画風にも確かな違いが認められるものでした。公立の美術学校の設立により、各流派の垣根が低くなった時代を通り抜け、現代に至る石川日本画の姿をご覧下さい。


 洋 画
番号 作 者 作 品 名 制 作 年 初出展・受賞
1 得田 耕 休息  明治20年代  
2 佐々木三六 石浦神社  明治31年  
3 佐々木三六 鈴見  明治35〜40年  
4 伊東 哲 農夫の妻 大正初め  
5 伊東 哲 高原  大正9年 第2回帝展
6 遠田運雄 憩う  昭和23年頃  
7 飯森定省 水浴の後  大正  
8 中村研一 安宅弥吉像 昭和16年  
9 高光一也 勤労出動 昭和19年  
10 南 政善 アコーディオン 昭和10 年 第二部会展 特選・朝日文化賞
11 竹沢 基 昭和42年 第53回光風会展
12 円地信二 アンティックの部屋 平成2年 第22回改組日展
13 宮本三郎 裸女達に捧ぐ  昭和44年 第23回二紀展
14 山口操助 道祖神 昭和47年 第26回二紀展
15 鴨居 玲 ETUDE(A) 昭和53年 第1回明日への具象展
16 吉田冨士夫 催眠術'80A  昭和55年 第34回二紀展 文部大臣賞

 日本画
番号 作 者 作 品 名 制 作 年 初出展・受賞 形態
明治・大正(ケース内)
1 垣内雲りん 春雨山水図 大正  
2 川端玉章 写生画巻 明治後期   巻子
3 玉井敬泉 雷鳥遊戯図 昭和初期   2曲1隻
4 玉井紅りん 富士山水図 大正  
5 山田敬中 春秋山水図 明治40年   対幅
西山英雄系
6 坂根克介 觀音 平成16年 改組第36回日展
7 西山英雄 残照 昭和57年 改組第14回日展
8 百々俊雅 日曜日 平成5年 改組第25回日展
東丘社
9 石川 義 縄文杉 平成6年 石川義展−杉の輪廻−
10 曲子光男 曙光 昭和47年 改組第4回日展
11 山本知克 ひるさがりの僧院 昭和44年 改組第1回日展

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