第3展示室では、昨年度収集した近現代絵画を紹介します。
洋画部門では昨年度の新収蔵品に新寄託品を合わせて展示します。既に開光市の作品は6点収蔵していますが、新たに超巨大な横9メートルの「くも」と8メートルの「舟」、共に4枚組の作品が2点加わりました。「くも」は異なるサイズのキャンバスを組み合わせた異色作で、開独特の緻密な絵肌を持つ奇怪な生物を描く作品です。展示に工夫がいりますが、上手く構成できれば、その存在感は圧倒的なものがあります。長谷川清作「初秋」は女性が2人室内にたたずむ穏やかな作品です。中間調による柔らかな色彩の対比が、光の陰影と相まって美しく映えています。寄託品では高光一也作の「勤労出動」を紹介します。昭和18年の同名作品より大型で同じ女性達を若干替えて描いた姉妹作で、高光氏の没後公開されるのは初めてとなります。
日本画では昨年度7点の収蔵がありました。中でも興味深いのが川端玉章の画巻ではないでしょうか。玉章は明治期の円山派を代表する付け立ての名手で、美校の学生たちに指南するために描いた『付け立て画手本』は有名です。今回収蔵された写生画巻は身近な生物を生き生きと描き出し、『付け立て画手本』を彷彿とさせるものです。その他、古澤洋子氏の3面で構成される大作「氷食」。中町力氏の日展会員賞受賞作「THE BRONX」。さらに京都画壇で活躍した山本知克氏の代表作4点を展示します。