前田利長没後400年 百万石大名の装い 
—武具・甲冑・陣羽織—
 前田育徳会尊經閣文庫分館
 平成26年 5月22日(木)〜6月15日(日) 会期中無休

  百万石まつりに合わせて開催する恒例の展示です。前田育徳会には初代藩主前田利家から14代藩主前田慶寧に至る武具甲冑が収蔵されていますが、ことに古い時代のものは、使用されていたことや経年変化による損傷もあり、近年は3年で一巡するように展示しております。今回は、2代前田利長から6代前田吉徳の武具甲冑と陣羽織を公開します。
 今年は、2代利長(1562〜1614)の没後400年を迎えました。利長は加賀藩祖利家とまつ(芳春院)の長男として生まれ、豊臣秀吉や父利家の没後から徳川家康による江戸幕府成立に至る難局の時代を、前田家の存続を守ることを第一とした苦渋の政治判断を強いられながら、加賀藩の礎を築きました。慶長10年(1605)、3代利常に家督を譲り富山城へ隠居しますが焼失し、高岡城(高山右近の縄張といわれる)を築き移りましたが、病のため53歳で亡くなりました。
 利長所用と伝わる鯰尾形兜を3年ぶりに公開し、武将利長を偲んでいただきます。あわせて、刀(長次作・成巽閣蔵)を展示します。これは利常が利長の菩提寺として建立した高岡の瑞龍寺に、奉納したうちの1口です。4代光高の早逝により、わずか3歳で家督を相続することになった5代綱紀の武運長久を願い、加賀藩領内の22名の刀工に命じて作らせたものですが、今日では2口のみが伝わる貴重な作品です。その他約25点の作品から、百万石大名の武の世界を紹介します。

No 作 品 名 伝 来 数量 作家名等 制 作 年
1 騎射図   1巻   江戸18〜19世紀
2 石目筒   2丁   桃山16世紀
3 黒皺革包総角文蒔絵鞍   1背   江戸/万治3年(1660)
4 唐桑雲龍彫鞍   1背   江戸/元禄9年(1696)
5 猿置文鞍   1背   江戸/正保2年(1645)
6 朝鮮鞍   1背   江戸17世紀
7 牡丹唐草柳に燕象嵌鐙   1双 伝与四郎 江戸17世紀
8 障子文金銀象嵌鐙   1双 勝尾永政 江戸18世紀
9 篭目に千鳥文銀象嵌鐙   1双 勝尾永秀 江戸19世紀
10 瓢箪文銀象嵌鐙   1双 木坂重宗 江戸18世紀
11 黒塗六十二間甲冑 3代前田利常所用 1具   江戸17世紀
12 紫糸威萬歳甲冑 4代前田光高所用 1具   江戸17世紀
13 錠羽形甲冑 5代前田綱紀所用 1具   江戸17世紀
14 黒塗筋十二間甲冑 6代前田吉徳所用 1具   江戸18世紀
15 五三桐文陣羽織 4代前田光高所用 1領   江戸17世紀
16 日の出に立波文陣羽織 5代前田綱紀所用 1領   江戸17世紀
17 蕨手文陣羽織 5代前田綱紀所用 1領   江戸17世紀
18 鱗形に松皮菱文陣羽織 5代前田綱紀所用 1領   江戸17世紀
19 黄無地陣羽織 5代前田綱紀所用 1領   江戸17世紀
20 猪目文陣羽織 5代前田綱紀所用 1領   江戸17世紀
21 日の出に立浪文陣羽織 6代前田吉徳所用 1領   江戸18世紀
22 鯰尾形兜   2代前田利長所用   1頭   桃山16世紀
23 前田利長画像 篠原探谷 1幅   明治24年(1891)
24 刀 銘(表)瑞龍院為 御寄進依 仰奉作之賀州住藤原長次 (裏)承応三年八月吉日       1口   承応3年(1654)
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