百万石まつりに合わせて開催する恒例の展示です。前田育徳会には初代藩主前田利家から14代藩主前田慶寧に至る武具甲冑が収蔵されていますが、ことに古い時代のものは、使用されていたことや経年変化による損傷もあり、近年は3年で一巡するように展示しております。今回は、2代前田利長から6代前田吉徳の武具甲冑と陣羽織を公開します。
今年は、2代利長(1562〜1614)の没後400年を迎えました。利長は加賀藩祖利家とまつ(芳春院)の長男として生まれ、豊臣秀吉や父利家の没後から徳川家康による江戸幕府成立に至る難局の時代を、前田家の存続を守ることを第一とした苦渋の政治判断を強いられながら、加賀藩の礎を築きました。慶長10年(1605)、3代利常に家督を譲り富山城へ隠居しますが焼失し、高岡城(高山右近の縄張といわれる)を築き移りましたが、病のため53歳で亡くなりました。
利長所用と伝わる鯰尾形兜を3年ぶりに公開し、武将利長を偲んでいただきます。あわせて、刀(長次作・成巽閣蔵)を展示します。これは利常が利長の菩提寺として建立した高岡の瑞龍寺に、奉納したうちの1口です。4代光高の早逝により、わずか3歳で家督を相続することになった5代綱紀の武運長久を願い、加賀藩領内の22名の刀工に命じて作らせたものですが、今日では2口のみが伝わる貴重な作品です。その他約25点の作品から、百万石大名の武の世界を紹介します。