「館蔵優品選」 絵画・彫刻  第6展示室
 平成26年4月20日(日)〜5月18日(日)

  この『だより』がお手許に届く頃は、既に桜も散り、目にも瑞々しい新緑の季節と思われます。同時期開催の企画展「新紀元 −革新の視座−」の関係で日本画・洋画・彫刻部門は第六展示室の一室のみの展示です。さて企画展は石川県ゆかりの五作家による革新的で実験的な創造の軌跡をご鑑賞いただくものですが、本展は館蔵品を中心に叙情性溢れる作品を中心とするもので見覚えのある作品ばかり。しかし企画展鑑賞後ご覧いただき改めてその魅力を再認識いただけるのではないかと願っています。以下、主な出品を紹介します。
  日本画:石川義筆「巣造りの頃」。春は生き物にとっても新たな生命を育む季節です。温んだ水辺ののんびりした雰囲気の一シーン中にも、刻の移り変わりが静かに秘められているようです。
洋画:吉田冨士夫筆「交霊術 HARP」。幻想的で文学的なテーマの作品です。舞台設定は霊媒師の奏でるハープによる降霊の場面を表すもので、明るくカラフルな色合は呪術のイメージよりも現代的な感覚さえ感じさせています。
  彫刻:畝村直久作「婦人の首」。本品は第6回日展特選受賞作で作者の出世作ともいえるものです。オーソドックスな作風で物静かな雰囲気の中にも凛とした気品を漂わせる作品となっています。小さいながらも観る者の心に残る確かな存在感を示しています。

作  品  名 作 者 名 制作年 初 出 展 受 賞
彫刻
1 ミゼレーレⅣ 中村晋也 1996 第28回改組日展
2 男立像 吉田三郎 1949 第5回日展
3 婦人の首 畝村直久 1950 第6回日展 特選
4 転生 堀 義雄 1971 第27回二紀展 文部大臣賞
5 人とトラロック 高橋 清 1968  
6 人魚 松田尚之 1969 第1回改組日展
7 潮音 得能節朗 1984 第16回改組日展 会員賞
8 腰かける女 高田博厚 1975  
9 静かなる動き 得能節朗 1991 第21回日彫刻展
油彩
1 望郷を歌う 鴨居 玲 1981  
2 1982年 私 鴨居 玲 1982  
3 春闌 小絲源太郎 1962 第1回国際形象展
4 アラブの旅 高光一也 1975 第61回光風会展
5 アドレーション・ミトロポリス 藤森兼明 2002 第34回改組日展
6 いざない'07(Ⅱ) 前田昌彦 2007 第81回国展
7 裸女達に捧ぐ 宮本三郎 1969 第23回二紀展
8 芽吹き 村田省蔵 2011 第43回改組日展
9 交霊術・HARP 吉田冨士夫 1996 第50回記念二紀展第50回記念賞
10 連理 脇田 和 1994 第58回新制作協会展
日本画
1 巣造りの頃 石川 義 1995 第15回グループ玄展
2 酔燕台翁 伊東深水 1960 第11回日月社展
3 転生 梅川三省 1971 再興第56回院展 奨励賞
4 求餌図Ⅱ 大沼憲昭 1992 パンリアル春季展
5 觀音 坂根克介 2004 改組第36回日展
6 残照 西山英雄 1982 改組第14回日展
7 心魂 日影圭 2003 改組第35回日展 特選
8 未来の化石 古澤洋子 2008 改組第40回日展 特選
9 暗い日 松崎十朗 2002 改組第34回日展
10 飛鳥をとめ 安田靫彦 1958 再興第43回院展
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