特集「能面と能装束」   第2展示室
  平成26年5月22日(木)〜6月15日(日)会期中無休     

 金沢市の無形文化財に指定されている大野湊神社の神事能は、毎年5月15日に行われます。明治維新の混乱期に一時中断はしましたが、天正14年(1586)より続き、今年で40五回を数えます。
古くは佐那武社と称された大野湊神社にて、古来より行われていた舞楽が神事能として、復活したのは、慶長9年(1604)のこと。加賀藩二代前田利長より、合戦勝利のお礼として、神事能を毎年行うよう言い渡されたことによります。はじめ8月15日に行われていましたが、「田畑が見物人によって荒らされる」「秋雨に悩まされる」などの理由から、4月15日(=旧暦 現在の5月15日頃)に開催日が変更されたのです。(『大野湊神社文書』より)
こうした神事能は、金沢の町人として本業を持ち、その一方で能も務める「町役者」によって支えらました。金沢において能が盛んであったのは、藩による保護や藩主の愛好はもちろん、この町役者の層の厚さにあると指摘されています。
今年は、大野湊神社の神事能の時期にあわせて、特集展示「能面と能装束」を開催します。本館所蔵の能面と能装束のほとんどは、前田家旧蔵のものですが、本特集では、加賀藩の能の歴史とあわせてご紹介します。また、会期中の5月17日に行う「土曜講座」において、近世から近代に至る金沢の能楽史の説明と、展示室にて作品の解説を行う予定です。


No 作品名 作者名等 員数 制作年代
1 能面 翁 伝三光坊 1面 室町16世紀
2 能面 黒色尉

 

1面 桃山16〜17世紀
3 能面 朝倉尉

 

1面 江戸17〜18世紀
4 能面 般若   1面 江戸18世紀
5 能面 猩々 近江 1面 江戸17世紀
6 能面 弱法師   1面 江戸19世紀
7 能面 俊寛 出目満真 1面 江戸18世紀
8 能面 孫次郎 是閑 1面 桃山16〜17世紀
9 能面 増女 近江 1面 江戸17世紀
10 能面 小面   1面 桃山16世紀
11 能面 姥   1面 江戸17世紀
12 ◎ 能装束 緑地桐鳳凰文唐織   1領 桃山〜江戸17世紀
13 能装束 色変鶴菱文唐織   1領 江戸17世紀
14 能装束 茶地黄紺白萌黄重菊唐織   1領 文化7年(1810)
15 能装束 銀地唐花文唐織   1領 弘化4年(1847)
16 能装束 鶸茶地型紙花紋散縫箔   1領 江戸18世紀
17 能装束 桃色地山道文摺箔   1領 文化9年(1812)
18 能装束 茶地木白段中格子桐丸紋鶴菱文厚板 1領 江戸19世紀
19 能装束 白地紋尽厚板   1領 江戸19世紀
20 能装束 水色地雲龍文縫箔御腰巻
付赤地銀鱗文摺箔下着
  1組 嘉永6年(1853)
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