日本画構図大研究 
第6展示室
   平成27年2月11日(水・祝)〜3月22日(日) 会期中無休


 近代以降、日本画は時間をかけて大きな変化をみせてきました。その変化とは、テーマはもちろん画材の扱いや構図に至るまでであり、近世以前と変っていないところを探す方が難しいくらいです。今回の特集展示は、そのうち「構図の変化と工夫」に着目し、館蔵の日本画から紹介しようとする試みです。
 明治までの数世紀、大きな変化を見せなかった日本絵画の構図は、近代以降の150年で大きく変化しました。それは鎖国された近世までの時代と、西洋文明を積極的に取り入れ、変貌を遂げた近代以降の文明の違いに呼応しています。では構図がどのように、何故変化したのか、いくつか例を挙げて考えてみます。
 まず、大和絵などに多く見られた説明的な俯瞰(見下ろした)構図は影を潜めました。これは、絵画の記録媒体として担っていた側面が薄れてきたことや、全体を把握する作画法から部分に焦点をあてる作画法にシフトしてきた事が考えられます。
 そして従来の日本絵画に多用されてきた「空間」や「間」が消失しました。様々な理由が考えられますが、西洋画の移入により、見える物は全て描き入れるようになったこと、西洋画的な構図の取り方を教育されてきたことが挙げられます。さらに床の間のある家屋が減り、軸装画の需要が減少したことは、広大な空間を生みやすい縦長な構図の作品が描かれなくなった理由といえます。
 本特集では、見過ごされがちな「構図」に着目し、楽しんでいただきたく思います。

No. 作家名 作品名 制作年 初出展覧会・受賞 形体
1 東山魁夷 昭和29年 改組第10回日展 
2 水墨山水図 越塚友邦 明治  
3 富士巻狩図 村田丹陵 明治28年 第4回内国勧業博覧会 妙技三等賞
4 春秋山水図 山田敬中 明治40年   対幅
5 ダムのある風景 石川 義 昭和56年 改組第13回日展
6 黄樹のある風景 下村正一 昭和35年 第3回新日展
7 朝日の当たる街 山本知克 平成11年 改組第31回日展
8 女房観梅之図 上村松園 20世紀  
9 雨後 北野恒富 20世紀  
10 こと 小林古径 20世紀  
11 上田珪草 昭和55年 再興第65回院展
12 求餌図Ⅱ 大沼憲昭 平成4年 パンリアル春季展
13 仮面舞踏会 坂根克介 昭和61年 改組第18回日展
14 街に 鹿見喜陌 昭和52年 改組第9回日展 特選
15 那智神滝 羽根万象 昭和58年 改組第15回日展
16 春を待つ 曲子明良 昭和53年 改組第10回日展
17 クメール崩壊 里見米菴 昭和60年 再興第70回院展
18 飛鳥をとめ 安田靫彦 昭和33年 再興第43回院展
19 咆哮 木島桜谷 明治35年 第8回新古美術品展 二等一席 6曲1双
20 午後 中出信昭 平成7年 改組第27回日展


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