石川県立美術館は開館30周年を迎えました。言うまでもなく、この前田育徳会展示室の展示も30年の節目となりました。その間には、毎年10回以上の展示替えを繰り返しながら、「前田家の文化」を様々な角度から公開してきました。展示は大きく二種類に分類され、寄託品の美術工芸品を中心とした作品によるテーマ展示と、東京の(公財)前田育徳会より借用して開催する特別陳列があります。
近年の特別陳列は、前田育徳会の所蔵品の個性を象徴する「尊經閣文庫名品展」や「加賀藩の美術工芸」をシリーズ展示として、作品の保存と公開の兼ね合いを考慮しながら、貴重な国宝や重要文化財の公開の機会を設けており、遠方よりのファンの皆様も少なくありません。
2015年春の北陸新幹線開業は、首都圏からの一層の誘客が期待されます。まだまだ認知度の低い石川県立美術館の存在をPRするには、この展示室の意義は大きいものがあると思われます。前田育徳会様のご協力のもとで、さらなる石川の文化拠点として魅力を発信していきますので、ご期待ください。
今回の展示では、寄託品の中から茶道具、能装束、婚礼調度、さらには屏風や陶磁器・漆芸品など幅広い分野の作品約30点により、大名家を飾った調度をご覧いただきます 。