石川県には、歴史的あるいは芸術的に優れた貴重な文化財が数多く伝えられています。これは、江戸時代に加賀藩主となった前田家の文化的施策が大きな要因の一つであり、その歴史的背景を基盤とするところの石川の文化風土は、芸術・文化全般に対する関心の高さをというかたちで今日に引き継がれています。
能登地区は日本海の海上交通により、大陸との接触が早くから行われたため、歴史的な風土や文化を色濃く物語るものを中心とした文化財が残されています。一方、加賀地区では、古代・中世において白山信仰の中心であったことや、中央の社寺の荘園として開かれたことにより、それを反映する文化財が残っています。また、前田家が加賀藩主となって文化の展開をみせて以降は、前田家を中心とする収集・育成された文化財が伝えられています。
当館ではそれらの文化財、中でも美術工芸品を中心に収集活動を行い、また保存と活用を目的として県内の社寺や個人の方々から多くの寄託を受けています。本展は、こうした石川県の貴重な文化遺産の一端を知っていただくとともに、文化財保護法に定める国宝・重要文化財の公開を目的として開催するものです。
石川県には現在二件の国宝が所在しています。当館が所蔵する「色絵雉香炉」と白山比咩神社所蔵の「剣 銘吉光」です。その二件の国宝を同時に見ることのできるまたとない展観です。この機会をぜひお見逃し無く。