能島芳史展 −15世紀フランドル絵画からの展開−
 
   平成25年10月18日(金)〜11月17日(日) 会期中無休
 
風蝕・南瓜UC 
 
風蝕・南瓜UC F200号 2012年

 
 能島芳史(のじまよしふみ)氏は金沢美術工芸大学油画を卒業後ベルギーに留学し、王立ゲント美術大学修復科で、フランドル技法を深く研究・修得した。さらに在学中の3年間は、ゲント美術館、ボイマンス美術館にてヒエロニムス・ボッシュの「大洪水の祭壇画」と「聖ヒエロニムス」を模写し、その技法を検証している。帰国後は、フランドル技法をどう現代に生かすかについて心血を注ぎ、白亜地と透明画法による独自の世界を展開してきた。
 近年能島氏のモチーフとなっているものは、10年以上たって3分の1のサイズに収縮しミイラ化した南瓜である。その凝縮し奇妙にねじ曲った形の中に、「存在の不条理」、能島氏の言によれば"サルトルの「嘔吐」の中で、ロカンタンがマロニエの根っこに感じたものと同質のもの"や、社会の混迷の有り様を見い出し、南瓜の亀裂や陥没した窪みや空虚な穴の中に、歯車や化石や昆虫などを忍びこませ、蝕まれ風化してゆく個の存在や社会の象徴として、大画面に一個の南瓜を描くのである。
 
  本展では、30年に及ぶフランドル技法との対峙の中で能島氏が得た「空間のコンセプトの転換」にもとづき、黒い壁面に「聖ヒエロニムス」模写から最近作まで、約20点の作品で創作の軌跡を提示する。
 白亜地と透明画法による幻視と諧謔の作品群が、深い闇の中、スポットライトによって微光を発し、映像作品であるかのように、観る者に語りかけてくるであろう。
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関連事業


 能島芳史氏講演会「これまでの歩み—ボッシュに魅せられて—」
  日時:10月20日(日)午後1時30分〜 3時  (開場1時)
  会場:石川県立美術館ホール 聴講無料

観覧料(コレクション展示室料金)
  • 一般350円(280円)  大学生280円(220円)  高校生以下 無料 

    ※他の2階展示室もご覧になれます。

おもな展示作品


ボッシュ「聖ヒエロニムス」模写

ボッシュ「聖ヒエロニムス」模写
1980年
風蝕・K

風蝕・K
1998年 F100号
風蝕・南瓜2011年 F130号

風蝕・南瓜
2011年 F130号
風蝕・南瓜 2011

風蝕・南瓜G
2009年 F130号
第19回富嶽ビエンナーレ展大賞 静岡新聞社蔵
虚飾の市へ

虚飾の市へ
2000年 130cm×486cm
作家略歴

















1948年  富山市に生まれる
1971年  金沢美術工芸大学油絵科卒業
1948年  ベルギー王立ゲント美術大学修復科でフランドル絵画技法を修得
1971年  ボッシュ作「大洪水の祭壇画」模写(ボイマンス美術館/オランダ)
1977年  ボッシュ作「聖ヒエロニムス」模写(ゲント美術館/ベルギー)
 〜  80年 
1993年  「アートは楽しい 夢と空想の風景展」招待出品(ハラ ミュージアムアーク/群馬)
       風土展 出品(2002年まで)(東京セントラル美術館)
1997年  第1回熊谷守一大賞展出品(アートピア付知工芸プラザ/岐阜)
1999年  翔展(黒部市美術館/富山)、挑流展(庄川美術館/富山)
2001年  「心の原風景展」招待出品(富山県立近代美術館/富山)
2004年  第5回北日本美術大賞展招待出品(富山県民会館美術館/富山)
       個展(中ノ沢美術館/群馬)
2005年  「とやまの美・7人のいま未来展」招待出品(富山県民会館美術館/富山)
2008年  第8回あさご芸術の森大賞展出品(あさご芸術の森美術館/兵庫)
2009年  第19回富嶽ビエンナーレ展 大賞受賞(静岡県立美術館/静岡)
       「色彩は踊る・巨匠たちのパレットと作品展」招待出品
       (富山県立近代美術館/富山)
       第1回青木繁記念大賞西日本美術展出品(石橋美術館/福岡)
2010年  特別展「ボッシュからの展開 能島芳史展」(朝日町立ふるさと美術館/富山)
       第10回あさご芸術の森大賞展出品(あさご芸術の森美術館/兵庫)
2011年  第20回富嶽ビエンナーレ展招待出品(静岡県立美術館/静岡)
2012年  個展(樂翠亭美術館 展示室 蔵/富山)
      「水辺のアート展」出品(黒部市美術館/富山)
2013年  能島芳史展-15世紀フランドル絵画からの展開−」(石川県立美術館/石川)


その他の個展:タップ・エン・テーペルン(ベルギー)、銀座スルガ台画廊、 ギャラリー新宿高野、四季彩舎、松屋銀座、ギャラリーNOW、SUGAR、ひろた美術画廊
現在 富山県富山市在住 日本美術家連盟会員