企画展
 石川県立美術館開館30周年|金沢宗達会創立100年記念 俵屋宗達と琳派
 平成25年9月14日(土)〜10月14日(月・祝) 会期中無休
 
企画展 俵屋宗達と琳派
 俵屋宗達の後継者俵屋宗雪が加賀藩の御用を務めたことから、石川県には宗達の流れを汲む宗雪や喜多川相説およびその工房の作品が数多く伝世し、当地の文化、美意識に大きな影響を与えています。
 大正2年(1913年)、日本美術協会の主催により東京で開催された「宗達記念会」を契機として、宗達が晩年金沢に下り同地で没したとの一伝承が注目され、金沢において俵屋宗達を顕彰しようという機運が高まりました。大正3年に設立された金沢宗達会は、年1回の茶会開催をとおして当地における俵屋宗達やその後継者たちの再評価に尽力し、当地での作品発見やコレクションの形成に貢献しました。
 本年開館30周年を迎える石川県立美術館が、俵屋宗達から尾形光琳に至る、いわゆる琳派の作品を所蔵品の中核のひとつとしているのも、このような文化風土によるものと言うことができます。本展は、日本美術史に実り多い展開をもたらした俵屋宗達の創作の軌跡と美意識を、法華経信仰や芸道思想の観点から重層的に捉えなおし、それが俵屋宗雪らによってどのように継承され、さらに尾形光琳によっていかに新たな息吹を与えられたかを、名作約60点の展示をとおして概観し、日本美の精華と言われる琳派芸術の神髄に新しい光を当てることを趣旨とするものです。  展示リスト
 
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一冊2,000円

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 ( 送料 : 1冊の場合340円、2冊の場合450円 )


 宛先
 〒920-0963 石川県金沢市出羽町2−1
 石川県立美術館総務課まで

   

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関連図書コーナーのお知らせ
情報図書コーナーでは、「俵屋宗達と琳派」展にあわせ、展覧会会期中に関連図書コーナーを設けています。
ぜひご活用ください。 (利用時間:午後1時30分〜午後5時)
 
  開催概要
  
会期
平成25年9月14日(土)〜10月14日(月・祝) 会期中無休
開館時間
午前9時30分−午後6時  ※入場は閉場時間の30分前まで
主催
石川県立美術館
共催
NHK金沢放送局、NHKプラネット中部、金沢宗達会
 
  観覧料
 
観覧料
一般
大学生
高校生以下
当 日
1000円
600円
300円
団 体
800円
500円
200円
※団体は20名以上               
  関連事業
 
土曜講座(聴講無料)
 

「俵屋宗達の画業─能楽と茶の湯の美意識から─」
講師:村瀬博春(石川県立美術館学芸第一課担当課長)
日時:9月14日 午後1時30分

「尾形光琳の画業─風神雷神図への挑戦─」
講師:村瀬博春(石川県立美術館学芸第一課担当課長)
日時:9月21日 午後1時30分

「加賀藩と寛永文化」
講師:高嶋清栄(石川県立美術館学芸第二課長)
日時:9月28日 午後1時30分

「琳派の再検証─琳派とは何だったのか─」
講師:村瀬博春(石川県立美術館学芸第一課担当課長)
日時:10月12日 午後1時30分

会場:石川県立美術館講義室(各日共)

ギャラリートーク(展覧会観覧料が必要です)
 

9月15日を除く会期中の毎週日曜日 午前11時から
(9月22、29日、10月6、13日)

呈茶(有料)
 

9月14、15、16、21、22、23日の土・日・祝日に行います。

コレクション展示部門 関連展示
 

前田育徳会尊經閣文庫分館
「加賀藩と寛永文化─本阿弥光悦と前田家─」
第2展示室
「琳派 様々な表現」

ミュージアム・コンサート ※終了しました。
 

「藤原真理チェロ・リサイタル─バッハと俵屋宗達の出会い」
演奏:藤原真理(チェロ、トーク)、倉戸テル(ピアノ)
曲目:J. S. バッハ 「無伴奏チェロ組曲第3番」 BWV1009
「アリオーソ」 BWV1056 他
日時:9月16日(月・祝) 午後1時30分
会場:石川県立美術館ホール
※詳細は、こちらのページをご覧ください。

 主な展示作品
       

重要文化財「舞楽図」俵屋宗達

重要文化財 「舞楽図」 俵屋宗達 醍醐寺蔵

能楽の聖地としての醍醐寺の発注により制作されたものと考えられる。舞人の配置は、左隻から還城楽(げんじょうらく)と四人舞の崑崙八仙(こんろんはっせん)、羅陵王(らりょうおう)と、右隻に二人舞の納曽利(なそり)という番舞(つがいまい)を前提とし、採桑老(さいそうろう)のみを単独で描く。舞人の配置や彩色、見交わす視線が示す極めて緊密な繋がりが、見所となっている。


重要文化財 「風神雷神図」 

重要文化財 「風神雷神図」 尾形光琳 東京国立博物館蔵
(展示期間:9月14日〜9月29日)

光琳晩年の画業は、宗達本「風神雷神図」への挑戦の軌跡ともいえる。本作は、光琳による宗達本の模作。そこ には宗達本を正確に写し取る意識はなく、宗達本の表現にこめられた深意を自ら咀嚼(そしゃく)し、宗達本に 挑もうとする人々に対しての道標となる、絵解きを示そうとの姿勢が認められる。


重要文化財 「四季草花絵古今和歌集和歌巻」本阿弥光悦書、俵屋宗達

重要文化財 「四季草花下絵古今集和歌巻」
本阿弥光悦書、俵屋宗達画 畠山記念館蔵
(展示期間:9月14日〜9月25日)

幹を大胆にクローズ・アップした竹から、梅、躑躅(つつじ)、蔦と、四季の草花を金銀泥を駆使した宗達ならではの没骨法(もっこつほう)によって生命感豊かに描き、その上に、本阿弥光悦が『古今和歌集』巻第17「雑歌」から19 首を緩急・抑揚自在に揮毫している。光悦と宗達の合作による和歌巻の中で、最も華麗で完成度が高いもののひとつ。

重要文化財 俵屋宗達 「扇面貼交図」 醍醐寺蔵

1620 年頃には広く売れ筋となっていた俵屋の扇の中でも特に完成度が高く、晩年の宗達の筆と思われるものを2曲1 双屏風の右隻に5 面、左隻に6 面貼り付けたもの。宗達没後、現在の屏風に仕立てられたと判断される。扇面は「異本伊勢物語絵巻」をはじめ古典的な絵巻などから形象を取材し、宗達ならではの構図感覚や叙情性が凝縮されている。


俵屋宗達 蓮池水禽図

国宝 「蓮池水禽図」
俵屋宗達 京都国立博物館蔵
(展示期間:9月14日〜9月29日)

「子犬図」俵屋宗達

「子犬図」 俵屋宗達

宗達の水墨画の絶品として高く評価される本作は、開花の頂点と花弁の大半を落とした蓮華の一対、雌雄と思われるカイツブリ科の水鳥が演じる動と静の対比から、豊穣や多産にかかわる吉祥図と考えられる。宗達ならではの面的な表現と、ぼかしを基調とすることにより、対象の量感や生命感が絶妙に表現される。中国宋・元時代水墨画の美意識から日本的な好みを明確化した作風に注目。

宗達の作品の中で広く愛好されているものの一つ。何よりも子犬の表情が可愛く、神坂雪佳ら様々な画家によって模倣され、日本画家、安田靫彦遺愛の作としても注目される。本作の深意は、現実的な有無の対立を考える自我を中心とした世界観を戒める禅の公案、『無門関』第一則の「趙州狗子(じょうしゅうくし)」に求められる。


重要文化財 「牛図」 俵屋宗達画・烏丸光廣賛

重要文化財 「牛図」
俵屋宗達画・烏丸光廣賛 頂妙寺蔵

「北野天神縁起絵巻」から牛の形象を取材し、対幅に仕立てたもの。墨の濃淡によるたらしこみの効果が、彫り塗りの線と 相まって牛の量感を見事に表現している。各幅には烏丸光廣による和歌と漢詩による賛が記され、和漢の賛には、いずれも足るを知る自得が詠まれている。煩悩のしがらみからの解脱としての悟りを、つなぎを解かれた牛によって表現したものと考えられる。宗達の没後に法華 宗の頂妙寺に寄進された。