特集「女性美 十色」  第6展示室
  平成25年9月13日(金)〜10月14日(月・祝) 会期中無休


 古今東西、女性を美の対象として鑑賞することは人類の常であり、文化であったといえます。古来よりそれをテーマに、多くの作品が作られてきました。女性美の本質は変わらないのかも知れませんが時代や土地、文化などにより、美の基準は微妙な変化を見せます。特にそれぞれの国の持つ文化が、固有の女性美の概念を形成したことは認められるところでしょう。
 ご存知の通り、日本には女性美を表現した「美人画」と呼ばれる作品群があります。一般的に美人画とは、特定された人物の人格を描くのではなく、類型的に捉えた女性美をテーマとした絵画といえるでしょう。江戸時代の浮世絵に端緒をみるこのジャンルが、盛んに描かれたのは明治から戦前にかけてです。東は鏑木清方や伊東深水、西は上村松園、北野恒富らが美人画家とよばれ、彼らが描く女性は当時の人々を魅了しました。
 しかし美人画家とよばれた人たちが鬼籍に入ったこともありますが、戦後美人画は衰退します。この頃ミスコンテストが台頭し始めますが、時期が重なるのは偶然ではないでしょう。作家達は女性を日本人の類型的な美から解き放ち、人間の本質を表現することを探り始めたのです。
 今回、第6展示室では明治・大正期の版画、そして北野恒富や上村松園らによる戦前期の美人画から戦後日展系作家による女性像まで、当館所蔵の女性像を多様な視点で紹介します。

作家名 作品名 制作年 初出展覧会受賞 形体
1 相川松瑞 化粧 大正  
2 伊東深水 新美人十二姿・初夏の浴 大正11  
3 伊東深水 雪晴 昭和5年頃  
4 稲元 実 午睡 昭和59年 改組第16回日展
5 上村松園 春さめ    
6 梅原幸雄 神灯に包まれて 平成4年 最高第77回院展日本美術院賞
7 岡本秋石 天女衰相 明治29年 日本絵画協会第1回絵画共進会二等褒状
8 北野恒富 三味線 大正10年 日本美術院米国巡回展
9 北野恒富 雨後    
10 北野恒富 鷺娘 昭和  
11 越塚友邦 唐美人図 明治  
12 小林古径 こと    
13 小早川清 近代時世粧ノ内4 瞳 昭和5年頃  
14 紺谷光俊 龍田姫之図 昭和14年  
15 坂根克介 帽子の女 昭和51年 改組第8回日展 特選
16 鹿見喜陌 街に 昭和52年 改組第9回日展 特選
17 戸田博子 夢・人・花 平成19年 改組第39回日展 特選
18 百々俊雅 夢想 平成元年 改組第21回日展 特選
19 鳥居言人 昭和4年  
20 鳥居言人 化粧 昭和4年  
21 鳥居言人 髪梳き 昭和4年  
22 中江悦子 エピローグ 平成13年 改組第33回日展 特選
23 野田九浦 虞美人草 大正〜昭和   6曲1双
24 橋口五葉 夏衣の女 大正9年  
25 羽根万象 丘の家族 昭和48年 改組第5回日展
26 山川秀峰 昭和2年  
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