器の美 —ガラス、陶芸、漆芸—
第2展示室
    平成25年6月28日(金)〜7月21日(日)  会期中無休

 器は、生命の維持に必要な食料や飲料の摂取に密接に関わってきたことから、人類の文明の発達を支えてきたといっても過言ではありません。その器への深い思いは、有史以来時代、地域を経て、様々な形に結実しました。本展は、器をめぐる壮大な文明史のごく一端を、紀元前6世紀から19世紀までの時代、中東、西欧、中国、朝鮮、日本という地域、そしてガラス、陶芸、漆芸のジャンルからたどるものです。
 最初にガラスに注目したいと思います。ガラスの製法は、古代エジプトで発達したと考えられていますが、砂や珪石、石灰などを高温で熱して溶融させ、それを成形する方法は、人類が経験的に習得していったものであるとの見方もできます。土器よりも堅牢で水漏れも少なく、表面が滑らかなため汚れが付着しにくい。また金属器のように簡単に錆びない。そして宝飾品にも用いられたように美しいという特長から、ガラスの器は人類の生活の向上に大きく貢献しました。今回は古代から近世の中東、西欧の作品十五点を選び、特に美しさの追求という視点で展示します。その中には、本号表紙を飾ったヴェネツィアのレース・グラスのように、非常に高度な技法を駆使したものもあります。
 陶芸では、今回鉢という形状にどのような加飾が展開されたかを、中国の明、朝鮮の李朝、そして江戸時代の作品で概観します。さらに漆芸では、中国明時代の存星、室町時代の根来、そして十九世紀琉球の密陀絵で様々な表現をご紹介します。
NO 作 品 名 作者名など  年 代
1 鋳造ガラス尖底鉢   ヨルダン BC3〜2世紀
2 鋳造ガラス尖底鉢   ヨルダン BC3〜2世紀
3 蓋付大壺   イタリア 1世紀
4 把手付水注   イラク 9世紀
5 エナメル彩アラビア人物文薔薇水瓶   イラン 18世紀
6 エナメル彩コンポート   ヴェネツィア c.1520
7 レース・グラス蓋付大杯   ヴェネツィア 16世紀
8 ゴールド・サンドイッチグラス狩猟文ワイングラス   ボヘミア c.1730
9 ゴールド・サンドイッチグラス狩猟文杯   ボヘミア c.1730
10 ゴールド・サンドイッチグラス草花文杯   ボヘミア c.1760
11 シュバルツロット人物文ワイングラス プライスラー、イグナッツ ボヘミア1725〜30
12 シュバルツロット動物文杯   ボヘミア c.1730
13 シュバルツロット鹿文杯 ベルグマン、ハインリッヒ ボヘミア c.1890
14 エナメル彩選挙侯文フンペン   ドイツ 1606
15 ルビーガラス瓶   ドイツ c.1680
16 グラヴィール葡萄文把手付瓶   オランダ 17世紀
17 五彩花木図鉢 景徳鎮窯 中国 明 15世紀
18 呉須赤絵玉取獅子文鉢   中国 明 17世紀
19 祥瑞二段捻鉢 景徳鎮窯 中国 明 17世紀
20 三島鉢   朝鮮 李朝 15世紀
21 色絵牡丹文鉢 伊万里 江戸 17世紀
22 色絵鹿図呉須赤絵写鉢 春日山窯 江戸 19世紀
23 赤絵弾琴図鉢 宮本屋窯 江戸 19世紀
24 色絵金彩唐子遊図鉢 永楽和全 江戸 19世紀
25 染付金襴手片身替鉢 永楽和全 江戸 19世紀
26 県文 存星梅竹双鳥図盆   中国 明 15〜16世紀
27 存星花鳥彫輪花盆   中国 明 15〜16世紀
28 根来塗三足器   室町 16世紀
29 密陀絵山水人物図絵替足付盛器   琉球 19世紀
古九谷
NO 作 品 名 制作年代  
1 県文 色絵布袋図平鉢 江戸17世紀 1口
2 県文 色絵鳳凰図平鉢 江戸18世紀 1口
3 県文 色絵鶉草花図平鉢         江戸19世紀 1口
4 県文 色絵鶴かるた文平鉢 江戸20世紀 1口
5 県文 色絵百花散双鳥図平鉢   江戸21世紀 1口
6 県文 青手樹木図平鉢            江戸22世紀 1口
7 県文 青手桜花散文平鉢         江戸23世紀 1口
8 色絵宝尽鷺文平鉢 江戸24世紀 1口
9 色絵牡丹文平鉢                                     江戸25世紀 1口
10 色絵石畳双鳳文平鉢 江戸26世紀 1口
11 青手松竹梅文平鉢 江戸27世紀 1口
12 青手葡萄図平鉢 江戸28世紀 1口