生誕100年 截金 人間国宝 西出大三
 —平安の美を求めて—
第5展示室
 平成25年2月15日(土)〜3月21日(金・祝) 会期中無休    

 平安時代から鎌倉時代の仏像や仏画に用いられた、繊細で精緻な金箔装飾「截金」。この技法で重要無形文化財の認定を受けた3名の作家の内、截金のみならず、素材の選定から器物の木彫、彩色などすべての工程を自ら行ったのは、西出大三氏ただ一人です。 華やかな截金が施された、端正な器物や動物をかたどった容器など、西出氏の木彫截金作品には妥協のない完成された美があり、愛らしい動物の姿であっても、触れることをためらう厳しさを秘めています。
 西出氏は大正2年に石川県江沼郡橋立(現加賀市)で生まれ、帝室技芸員であった高村光雲に私淑して昭和7年に東京美術学校に進学、木彫と古美術の修復技術を学びました。仏教美術の修復に関わる中で、京都の限られた技術者にのみ伝えられていた、截金に心を惹かれて研究を始めました。研究はめざましい成果を上げ、同30年には截金が「国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」の指定を受けています。 やがて自ら彫った木製の器物等に、顔料による彩色と截金を施した作品の制作を始めたことは、自然の流れであったでしょう。同32年に第4回日本伝統工芸展に初入選、翌33年には第5回同展の技術賞を受賞し、同六十年には重要無形文化財「截金」保持者の認定を受けました。 本展は、平成25年に生誕100年を迎えた西出氏の回顧展であると共に、氏が半生をかけて研究した截金技術を紹介するものです。会期中に截金ガラス作家山本茜さんをゲスト講師に迎えて、こども向け鑑賞講座を行います。一般の方も見学できますので、ぜひお越し下さい(詳細は催し物案内)。

No.
作品名 制作年 展覧会 所在
木彫截金
1
木彫截金彩色「元禄婦女」 昭和30年(1955)    
2
木彫截金彩色「瑞鳥」 大小一対 昭和32年(1957) 第4回日本伝統工芸展  
3
截金彩色飾合子「富士」 昭和33年(1958) 第5回日本伝統工芸展 技術賞 金沢市立安江金箔工芸館
4
木彫截金彩色「花蝶盤」 昭和34年(1959) 新綜工芸展  
5
木彫截金彩色「飾馬」 昭和35年(1960) 第1回伝統工芸新作展  
6
木彫截金彩色宝石筥「花と蝶」 昭和36年(1961) 第8回日本伝統工芸展  
7
木彫截金花文香合「まがき」 昭和36年(1961) 第2回伝統工芸新作展  
8
截金彩色「牛の香合」 昭和36年(1961)    
9
木彫截金「華鶴」 昭和30年代    
10
截金彩色鶏の合子 昭和37年(1962) 第9回日本伝統工芸展  
11
木彫截金小筥「故苑」 昭和38年(1963)    
12
截金木彫茶入「嵯峨野」 昭和39年(1964) 第4回伝統工芸新作展  
13
木彫截金茶入「宮城野」 昭和41年(1966) 第13回日本伝統工芸展  
14
木彫截金「鶴の合子」 昭和41年(1966) 第6回伝統工芸新作展  
15
木彫截金香の匣「みくまの」 昭和42年(1967) 第14回日本伝統工芸展 石川県立美術館
16
截金彩色「立雛」 昭和42年(1967) 第7回伝統工芸新作展  
17
木彫截金彩色茶入「王母」 昭和43年(1968) 第15回日本伝統工芸展  
18
木彫截金彩色茶入「醫王」 昭和43年頃(c.1968)    
19
木彫截金筆筒「つづら野」 昭和44年(1969) 第16回日本伝統工芸展  
20
木彫截金彩色地蔵「宝珠」 昭和44年(1969) 第9回伝統工芸新作展  
21
地蔵菩薩半跏像胎内仏模刻 昭和40年代    
22
木彫截金「鴛」 昭和44年(1969)    
23
截金彩色飾盆「浮舟」 昭和45年(1970) 第17回日本伝統工芸展 石川県立美術館
24
截金彩色合子「酉」 昭和46年(1971) 第18回日本伝統工芸展 石川県立美術館
25
木彫截金彩色「うずらの合子」 昭和46年(1971) 第11回伝統工芸新作展 金沢市立安江金箔工芸館
26
木彫截金彩色「匂鳥」 昭和47年(1972)    
27
截金彩色合子「香亀」 昭和47年(1972) 第19回日本伝統工芸展  
28
截金彩色合子「花守犬」 昭和48年(1973) 第20回日本伝統工芸展 石川県立美術館
29
截金彩色八花香盤「御法」 昭和49年(1974) 第21回日本伝統工芸展 石川県立美術館
30
木彫截金彩色合子「千鳥」 昭和49年頃(c.1974)    
31
截金彩色蓮華香合 昭和50年(1975) 第22回日本伝統工芸展  
32
木彫截金彩色「鯉の合子」 昭和51年(1976) 第16回伝統工芸新作展  
33
截金桧合子「摩尼」 昭和52年(1977) 第24回日本伝統工芸展 石川県立美術館
34
如月香合 昭和52年(1977) 第17回伝統工芸新作展  
35
木彫截金彩色茶入「四方山」 昭和52年頃(c.1977)    
36
截金桧盤「重陽」 昭和53年(1978) 第25回日本伝統工芸展 石川県立美術館
37
截金香合「鈴虫」 昭和53年(1978) 第18回伝統工芸新作展  
38
截金彩色「薬師瑠璃光如来」 昭和54年(1979)    
39
截金彩色木彫合子「華鳥」 昭和55年(1980) 第27回日本伝統工芸展 石川県立美術館
40
木彫截金香合「残月」   昭和55年(1980) 第20回伝統工芸新作展  
41
桧截金雲竜華文盤 昭和56年(1981) 第28回日本伝統工芸展 石川県立美術館
42
木彫截金香合「夕顔」 昭和56年(1981) 第21回伝統工芸新作展  
43
截金香合「蓬生」 昭和57年(1982)

第29回日本伝統工芸展

 
44
木彫截金「鈴」 昭和58年(1983) 第23回伝統工芸新作展  
45
木彫截金彩色香合「仲秋」 昭和58年(1983) 第30回日本伝統工芸展  
46
木彫截金扇面秋の合子 昭和59年(1984) 第31回日本伝統工芸展 石川県立美術館
47
截金桧長盤「隠沼」 昭和60年(1985) 第32回日本伝統工芸展  
48
截金桧長盤「おしどり」 昭和61年(1986) 第33回日本伝統工芸展  
49
香合「丹頂」 昭和61年(1986) 第26回伝統工芸新作展  
50
截金彩色桧盤「御船」 昭和62年(1987) 第34回日本伝統工芸展  
51
木彫截金彩色「鯉のぼり」 昭和62年(1987) 第27回伝統工芸新作展  
52
木彫截金彩色合子「愁湖」 平成元年(1989) 第36回日本伝統工芸展(42回展遺作)  
53
截金宝石筥「紅梅」 平成元年(1989) 第29回伝統工芸新作展  
54
木彫截金彩色合子「春苑」 平成2年(1990) 第37回日本伝統工芸展 金沢市立安江金箔工芸館
55
截金宝石筥「をしどり」 平成3年(1991)   金沢市立安江金箔工芸館
56
木彫截金彩色合子「呱呱」 平成5年(1993) 第40回日本伝統工芸展  
57
木彫截金彩色合子「屋形」 平成6年(1994) 第41回日本伝統工芸展  
木彫
58
木彫「念持釈迦仏」厨子入り 昭和12年(1937) 厨子は昭和24年作  
59
木彫「南蛮人」 昭和12年(1937)    
60
木彫「少女の首」 昭和10年代    
61
木彫「あま」  昭和21年(1946) 第1回日展  
62
木彫「女立像」 昭和24年(1949)    
63
木彫習作(鰈、桃、じゃがいも、茄子、みょうが、ほおずき、小蕪、さやいんげん) 昭和20年(1945)    
截金絵画
64
截金絵画「月下美人」 昭和32年(1957)    
65
截金絵画「幼童夢幻」 昭和36年(1961)    
66
截金絵画「瑞鳥」 昭和39年頃(c.1964)    
67
截金絵画「宙宇微塵」 昭和30年代    
68
截金絵画「誕生仏」 昭和30年代    
69
截金絵画「さぼてん花 孔雀」 昭和40年代    
70
截金絵画「花の菩薩」 昭和61年(1986)    
参考出品
金沢市指定文化財 阿弥陀三尊来迎図 南北朝時代(14世紀)    如来時
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