特集 春を待つこころ+油彩コレクション展示
第3展示室
   平成26年2月15日(金)〜3月21日(金・祝) 会期中無休


  彫刻分野では春の情景や心情をテーマにした人体彫刻を中心に展示いたします。 代表的な作品として、得能節朗「春」、山瀬晋吾「春の音(1)(2)」、矩幸成「春を包む」などで、作品名称及び春を連想するポーズなどの作品が中心です。
  油絵と水彩・版画の分野では、高光一也の「鶴仙渓の春」や村田省蔵の「斑雪」など昭和平成の作品と共に、浅井忠の「農夫とカラス」や同「桜」といった明治期の作品もご覧いただきます。
  浅井の「農夫とカラス」は、カラスについばまれるのを承知で黙々と種をまく農夫に、、日本近代洋画の揺籃期に我道を歩んだ浅井自身の姿をなぞらえた寓意画とも見なされますが、土や緑の草、その上に見える男の勢いのある姿などからは、春の暖かさと活気を感じます。また「桜」は写実から離れ、デザイン性を強く出した浅井の水彩画です。川を挟んで桜の枝が2本シンメトリックに描かれています。京都時代の晩年の作と思われます。
  また、人物画家として知られる高光ですが、「鶴仙渓の春」は山中の鶴仙渓を大胆なタッチで渓流と春の風に揺らめく木々の梢をとらえた明るい作品です。 四季折々、詩情豊かな風情を見せる日本の風土は、また詩情豊かな芸術を生み出す風土であるといってもよいでしょう。そこに育まれた日本人の感性は、古来より文学・絵画等、四季に応じて優れた芸術をつくり出してきました。中でも厳しい冬を越えて心待ちに迎える季節「春」は日本人にとって格別な思いを抱かせ、作品を生み出す動機ともなってきました。
もうすぐ春を迎える頃となりますが、美術館の展示室においても存分に春の雰囲気をお楽しみください。

 
油彩 春を待つこころ
作品名 作者名 制作年 初出展覧会・受賞
1 農夫とカラス 浅井 忠 明治24年(1891)  
2 浅井 忠 明治35年(1902)  
3 待春の丘 奥田憲三 平成10年(1998) 第60回一水会展
4 春闌 小絲源太郎 昭和37年(1962) 第1回国際形象展
5 鶴仙渓の春 高光一也 昭和29年(1954)  
6 雪人夫 高光一也 昭和38年(1963) 第49回光風会展
7 白い椿 竹沢基 昭和59年(1984) 第70回光風会展
8 早春譜 中村静勇 平成8年(1996) 第67回第一美術展
9 待春 判 三教 平成2年(1990) 第36回一陽展
10 五月 藤本東一良 昭和37年(1962)  
11 春の人形 増田 孝 昭和63年(1988) 春季二科展
12 早春の福浦港 松下久信 平成23年(2011)  
13 春近し 村田省蔵 平成8年(1996) 第28回改組日展
14 斑雪 村田省蔵 平成20年(2008) 第40回改組日展
15 早春の岸辺 森本仁平 平成7年(1995)  
16 野焼 森本仁平 平成7年(1995)  
油彩コレクション展示
1 1982年 私 鴨居 玲 昭和57年(1982)  
2 水光る 新保甚平 平成24年(2012) 第76回新制作展
3 雪後の湖畔 塗師祥一郎 昭和58年(1983) 第15回改組日展
4 裸女達に捧ぐ 宮本三郎 昭和44年(1969) 第23回二紀展
5 交霊術HARP 吉田富士夫 平成8年(1996) 第50回記念二紀展 第50回記念賞
6 連理 脇田 和 平成6年(1994) 第56回新制作展
彫刻 春を待つこころ
作品名 作者名 制作年 初出展覧会・受賞
1 春の息吹 矩 幸成 昭和40年(1965) 第8回新日展
2 若竹 木村珪二 昭和37年(1962) 第5回新日展
3 春葩 田中 昭 昭和62年(1987) 第19回改組日展 内閣総理大臣賞
4 得能節朗 昭和57年(1982)  
第3展入口
1 大将の椅子 富永直樹   昭和60年(1985)  
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