彫 刻 特別陳列 能登の彫刻家たち  第4展示室
  平成24年10月25日(木)〜11月28日(水) 会期中無休 


  日本海に大きく突き出た能登半島は、海を挟んで大陸・半島と向き合う位置にあることから、古くには我が国の表玄関側として往時の先進文化を伝える地区であるとともに、日本海航路の拠点地域としてもあることから、故郷を離れ海を越えて各地に雄飛する進取の気性も窺える地区であると言えましょう。
 能登地区の永い歴史と人々の営みに育まれてきた今日この地は豊かな自然と伝統文化を伝え、我が国の原風景を残す地区の一つとなっています。
 さて能登地区は今日、彫刻に繋がりまた直接関係する伝統工芸や産業、美術学校が見当たらないにも拘わらず、能登地区出身で全国区で活躍する作家や、現在能登を拠点に活動中の作家、さらには能登出身の物故彫刻家を含め、多様で個性的な彫刻家の活動の展開が見えるものとなっています。そこでは作家それぞれが自分の素材と向かい合って紬出すような独自の展開が見えるもので、能登地区の風土のような一見、寡黙で地味ながらも素朴で確かな存在感を漂わせているものが多く見えます。
 昨今の震災以来、改めて地域と人々の生活・文化を含めた繋がりに関心が高まってきており、各地区においても美術による絆の深化が期待されるなか、特に、野外の展示をも持つ彫刻分野の活動は、今後益々期待されるものがあるといえましょう。
 展示では、石・木・塑造・金属の素材別に、現在活動中の作家作品と並び、能登地区出身の物故作家の作品を取り混ぜ展示するもので計20作家、合計29件の作品を展示するものです。

 能登の彫刻家たち 展示作品
作  品  名 作  者 制作年 初出品 材  質
石  彫
1 ANOTHER VISION 15 池上 奨 平成24年 2012   石彫(御影石)
2 ANOTHER VISION 16 池上 奨 平成24年 2013   石彫(大理石)
3 月の雫 Ⅲ  石田 瑞夫 平成元年 1989 第45回展 石彫
木  彫
4 WOMAN21 (女子高生) 内平 俊浩 平成21年 2009 内平俊浩木彫展 木彫(楠材・着色)
5 WOMAN21 (メイド) 内平 俊浩 平成21年 2009 内平俊浩木彫展 木彫(楠材・着色)
6 義民・安政 義民・天保 松栄 清彦 昭和41年 1966 第20回二紀展 木彫(着色)
金属造形
7 風紋碑 板坂 葵 昭和60年 1985 第60回二科展
8 〔飛鳥〕月を抱く 板坂 葵 平成10年 1998 第54回現展 アルミ鋳造
9 SPIRAL.3-TUKI 木戸 修 平成24年 2012   ステンレス
10 スパイラル’84 木戸 修 昭和59年 1984   アルミニウム
11 天窓の上の獅子座 末政 哲夫 平成17年 2005 第59回二紀展 ステンレス
12 月が歩く 吉田 隆 平成22年 2010 第66回現展
13 月に恋した蛇 吉田 隆 平成23年 2011 第67回現美
塑  造
14 座女 荒木 和広 昭和54年 1979 第35回現美 ブロンズ
15 ミューズのトルソ 三谷 慎 平成23年 2011   ブロンズ
16 曲芸師 三谷 慎 昭和59年 1984   ブロンズ
17 星人 村上 順徳 平成14年 2002 第58回現展 FRP
18 「百なりや  つるひと筋の
心より 千代」
山瀬 晋吾 平成24年 2012 第42回日彫展 テラコッタ
19 波乗り 山瀬 晋吾 昭和59年 1984 第16回日展 ブロンズ
20 若き僧 S 渡部 浩 昭和58年 1983 第13回日彫展 ブロンズ
21 と も 渡部 浩 平成14年 2002 第58回現展 ブロンズ
物故作家
22 優子さん 岩山 豊郁 平成11年 1999 第53回二紀展 石彫
23 遠い道 川岸 要吉 平成9年 1997 第29回改組日展 石膏(着色)
24 作品 北川 薫 昭和47頃年 c.1972   石彫(大理石)
25 酔っぱらい 坂 坦道 昭和57年 1982 第12回日彫展 ブロンズ
26 腰かける女 高田 博厚 昭和50年 1975   ブロンズ
27 田中 太郎 昭和50年 1975   木彫
28 卵を運ぶ鼠 吉田 雪山 昭和57年頃c.1982   石膏(着色)