日本美術が、空を描くことに本気を出し
始めたのはいつからでしょう。平安期以降
の「大和絵」では、空は関心の対象とあま
りされていません。当時は、もっぱら地上
の出来事に関心を払っていたようで、俯瞰
された構図からは、ごく一部の作品を除い
て空が描かれることはありませんでした。
雲さえも「金雲」となり、余計な物を隠す
道具とされました。その後も月や旭日、さ
らには龍が描かれることはあっても、空そ
のものに関心が払われることは殆どなかっ
たのです。
近代以降の日本画が空をどのように扱っ
たのか、10点の当館コレクションから見る
小特集です。