田辺栄次郎展−南仏の光−
第3展示室
    平成25年2月15日(金)〜3月22日(金) 会期中無休


本展は田辺栄次郎氏の没後15年に際し、館所蔵の12点の作品を一堂に会するものです。
  田辺氏は明治43年羽咋郡押水町(現宝達志水町)生まれ。昭和4年に石川師範学校を卒業し、37年まで金沢市内の小中学校に勤務しました。この間、12年に第24回二科展に初入選して以後出品を続け、二科会解散後は戦後22年に宮本三郎が結成した二紀会の第1回展に招待出品、その後32年に第3回一陽展に出品し、以後一陽会の重鎮として活躍しました。
  30年代は絵具を盛り上げ、モノクロームに近い抽象の作品を手がけましたが、42年以降は地中海や南仏などに取材した風景画を描くようになりました。海外でのスケッチをもとに、帰国後アトリエで再構成して本制作へと進み、そこでは個々の具体性は昇華され抽象化されたオレンジの屋根と白い壁、そして木々の緑といった、ごく限られた要素で画面は構成されていくのです。従って、名所旧跡が描かれるということはありません。田舎の生活の匂いのするところを求めて田辺氏は描きます。そして、画面に人物を見ることもなく、結果、鑑賞者は自分を画中の人物として描き加え、絵を通じてその地へ旅行したかのような思いをいだくのです。風景画の魅力の大なるものが田辺氏の作品からうかがえることでしょう。

 No 作品名  制作年 初出展覧会
1 見ざる,聞かざる,言わざる 昭和14年(1939) 第26回二科展
2 流来  昭和38年(1963) 第9回一陽展
3 リヨンの丘  昭和52年(1977) 第23回一陽展
4 セーヌ川遠望  昭和52年(1977) 第23回一陽展
5 モンリューソンの坂道 昭和57年(1982)  
6 南仏ブッセンス水辺 昭和57年(1982) 渋谷東急個展
7 ヌベールの横町 昭和59年(1984)  
8 ビオットの屋並裏 昭和60年(1985)  
9 砂漠の町ヒワ  昭和61年(1986)  
10 ペルピニャンの横小路 平成3年(1991)  
11 ロッシュ展望  平成4年(1992)  
12 ティチーノ寸景(スイス) 平成8年(1996) 第42回一陽展
No  作 者 作品名 制作年 初出展覧会
1 円地信二 アンティックの部屋 平成2年(1990) 第22回改組日展
2 鴨居 玲 待つ 昭和51年(1976)  
3 鴨居 玲 1982年 私 昭和57年(1982)  
4 沢 オイ 世紀の風 -New wing- 平成19年(2007) 第53回一陽会展
6 鈴木 博 昭和50年(1975) 第29回二紀展 文部大臣賞
7 高光一也 カサブランカ 昭和50年(1975) 第7回改組日展
8 竹沢 基 ショールをまとう 昭和53年(1978) 第10回改組日展
9 塗師祥一郎 山間 昭和54年(1979) 第11回改組日展
10 藤井多鶴子 ささやき 昭和30年(1955) 第10回行動展
11 藤井多鶴子 夜明けのライン 昭和57年(1982)  
12 藤森兼明 アドレーション・ミトロポリス 平成14年(2002) 第34回改組日展
13 松本 昇 聖職者 平成16年(2004) 第36回改組日展
14 南 政善 黒いタイツ 昭和26年(1951) 第37回光風会展
15 宮本三郎 歌手 昭和38年(1963) 第7回日本国際美術展
16 宮本三郎 熱叢夢 昭和46年(1971) 第25回二紀展
17 村田省蔵 凛として 平成21年(2009)  
18 吉田冨士夫 催眠術’80A 昭和55年(1980) 第34回二紀展 文部大臣賞
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