特集 竹沢基展−清廉の女性美−
第3展示室
 平成25年1月4日(金)〜2月11日(月・祝) 会期中無休日(月) 会期中無休     

  竹沢基氏は大正4年小松市安宅町生まれ。教員である父の転任に伴い、金沢、羽咋と移り、昭和8年に県立羽咋中学を卒業、10年に東京美術学校油画科に入学。志賀町出身の南政善は中学と美術学校の先輩にあたります。学校では藤島武二に師事しました。当時藤島は旭日を描くために各地を取材していた時で、最晩年の弟子といえます。細部にこだわらず大きくものを見ることを徹底して教えられ、竹沢氏の金沢美大における教授法は藤島譲りであったと聞きます。細かく付け足すのではなく、ある塊から削り落としていく、これがモットーでした。
  金沢美大には23年から助教授として勤め、学生に描かせる石膏像を求めて上野へ買い出しに出かけ、抱いて夜行列車で帰るなど、草創期の苦心は多かったようです。五十六年の定年退官まで33年の長きにわたって学生を指導・育成し、清廉な人格と真摯な創作は多大な影響を与え続けました。
  作品は着衣の女性が主体で、光風会展と日展に出品された女性像は、いずれも伸びのある力強い線と、色数を限定した明快な色調で描かれています。細かで柔らかい描写はなく、一見素っ気ないようですが、じっと見ていると、空間の中に女性が確かに息づいていると感じます。「白木の美しさ」、竹沢氏の女性像にはこの言葉がふさわしく思えるのです。特集では所蔵の優品を一堂に展示します。どうぞ、ご覧ください。

No  作 者  作品名  制作年  初出展覧会
1 竹沢 基 調書 昭和23年(1948) 第34回光風会展 O氏賞
2 竹沢 基 装ひ 昭和27年(1952) 第8回日展
3 竹沢 基 粧い 昭和29年(1954) 第10回日展
4 竹沢 基 シャルトルの寺 昭和36年(1961) 第47回光風会展
5 竹沢 基 コートの女 昭和40年(1965) 第51回光風会展
6 竹沢 基 昭和42年(1967) 第53回光風会展
7 竹沢 基 坐像 昭和43年(1968) 第54回光風会展
8 竹沢 基 マレーシャの娘 昭和44年(1969) 第55回光風会展
9 竹沢 基 サリーの娘 昭和44年(1969) 第1回改組日展
10 竹沢 基 坐像 昭和45年(1970) 第56回光風会展
11 竹沢 基 婦人像 昭和47年(1972) 第58回光風会展
12 竹沢 基 花模様 昭和48年(1973) 第59回光風会展
13 竹沢 基 少女坐像 昭和49年(1974) 第60回記念光風会展
14 竹沢 基 TOMOKO坐像 昭和49年(1974) 第6回改組日展
15 竹沢 基 青いサリー 昭和50年(1975) 第61回光風会展
16 竹沢 基 婦人像 昭和50年(1975) 第7回改組日展
17 竹沢 基 黒いコート 昭和51年(1976) 第62回光風会展
18 竹沢 基 K子坐像 昭和52年(1977) 第63回光風会展
19 竹沢 基 ショールをまとう 昭和53年(1978) 第10回改組日展
20 竹沢 基 乗馬服の女 昭和54年(1979) 第65回記念光風会展
21 竹沢 基 亡き息子を忍ぶ母親の像 昭和54年(1979) 第11回改組日展
22 竹沢 基 花模様 昭和55年(1980) 日展新審査員展
23 竹沢 基 若い客 昭和57年(1982) 第14回改組日展
24 竹沢 基 若い婦人 昭和58年(1983) 第69回光風会展
25 竹沢 基 白い椿 昭和59年(1984) 第70回記念光風会展
26 竹沢 基 白いカーディガン 平成9年(1997)  
27 竹沢 基 資料(滞欧中の小品、遺愛品など)    

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