大名家の調度-婚礼調度を中心に-
前田育徳会尊經閣文庫分館
  平成23年11月23日(水・祝)〜12月23日(金・祝) 会期中無休     

 調度とは、日常使う手回りの道具や器具類、また小型の家具を指します。大名家の調度となれば、そこに家格が反映されることになります。江戸時代には武家調度の形式が完成し、殿邸の各部屋の位置付けにふさわしい調度類が配されました。そして通常、それらには同じ意匠の蒔絵がほどこされました。
 また大名家の息女が嫁入りの際に持参する婚礼調度は多岐にわたり、三棚をはじめ、化粧道具、歯黒道具、手水道具、文房具、衣装箪笥に、碁盤、将棋盤、双六盤、貝桶などの遊戯具、楽器類が加えられました。
 今回は、11代将軍徳川家斉の二十一女溶姫(偕子)が前田家13代斉泰に嫁ぐ際に調えられた葵紋蒔絵調度を中心とした展示です。葵紋蒔絵調度は、全体を黒漆塗として若松唐草を意匠化した地紋と、徳川家の家紋である葵紋を蒔絵でほどこした一揃いです。三棚の一つである書棚や、貝桶を欠いているものの、江戸時代末の大名家の生活を知る貴重な資料ということができます。

 溶姫は1813年に生まれ、1823年に斉泰と婚約し、1827年に江戸の加賀藩邸に輿入れしました。1863年に金沢にはいり、1864年に江戸に戻り、1868年に金沢に戻り、同年この地で生涯を閉じ、天徳院に葬られました。

No. 作品名 年代  員数 
1

葵紋蒔絵調度品の内

厨子棚・黒棚・拾弐手箱・源氏箱・香炉・香 盆・硯箱・料紙箱・短冊箱・大角赤・小角赤 歯黒箱・爪取箱・渡金箱

弘化元年(1844) 13点
2 蒔絵広蓋 江戸 18世紀 3枚
3 業平菱牡丹紋散蒔絵碁笥・碁石 江戸 18〜19世紀 1対
4 業平菱牡丹紋散蒔絵将棋盤 江戸 18〜19世紀 1脚
5 業平菱牡丹紋散蒔絵将棋駒・箱 江戸 18〜19世紀 1対
6 姫君入輿行列図 上巻 江戸 19世紀 1巻
7 源氏五十四帖画 上巻 明治 19世紀 1巻
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