花鳥の美 −絵画と調度−

 前田育徳会尊經閣文庫分館
 平成23年4月1日(木)〜4月19日(火) 会期中無休 

  春は、華麗に咲き誇る花に、心和ませる季節の始まりであるといわれます。それとともに、鳥のさえずりに象徴されるように、躍動の季節の始まりでもあります。長く厳しかった冬の後に、春の訪れを心から待ちわび、喜びを持って迎えられる方も多いことと思います。
自然とともに暮らし、自然との深い関わりの中で文化をはぐくんできた日本人には、和歌に代表されるように自然に心情を重ねて表現するという伝統があります。美術作品にもその傾向が見られ、花鳥風月を表現する作品が好まれて制作されてきました。
 花と鳥を描く花鳥画は、自然を室内において身近に共有できる最も一般的なテーマとして広く見られます。四季の変化を花鳥に託することで、日々の生活に彩りを添えるものとしてもてはやされました。また、花の輝きや鳥の躍動美などの景観を描き留めて目を楽しませてくれるものでもありました。さらには文学や仏教・儒教思想などとも結びつき、寓意・庭訓・鑑戒を表す画題のモチーフとしても利用されてきました。一方で、吉祥的な意味合いを持つ花木とともに、つがいや親子の鳥を描くことで、不老長寿や夫婦和合、子孫繁栄などをそこに託していったとも考えられます。

  作品名 作家名等 制作年
1 林和靖・花鳥図 山本梅逸 江戸19世紀
2 四季花鳥図   明治32年
   麦穂に雲雀  村瀬玉田   
   雲間に子規  野村文挙  
   野草に鶉  瀧 和亭  
   波上に千鳥  川端玉章  
3 梅(御臨幸記念) 川端玉章ほか 明治43年
4 花鳥図 王 若水 元14世紀
5 鷹狩図絵巻 六代梅田九栄 江戸18世紀
6 鳥図画帖     江戸18世紀
7 呉須赤絵大鉢   明17世紀
8 色絵中皿 古九谷 江戸17世紀
9 蒔絵三十六歌仙花卉文提重     江戸18〜19世紀
10 梨子地松竹梅蒔絵脇息   江戸18〜19世紀
11 紫檀鷹蒔絵刀掛     江戸18〜19世紀


前のページへ