茶道具と名物裂
前田育徳会尊經閣文庫分館
  平成24年1月4日(水)〜2月6日(月) 会期中無休     

 茶事では茶室の席入りの合図として欠かすことのできない銅鑼を最初に展示します。この銅鑼は初代魚住為楽が、前田利為候に依頼され、皇紀2600年の記念として昭和15(1940)年に制作した作者会心の大作です。次の「観音羅漢像」には、白隠独特の温もりを感じさせる禅画の世界が描かれています。観音経の「慈眼視衆生、福聚海無量」の賛が記されていますが、新しい年の「平和」を願う心を託しました。次に小堀遠州と前田家のつながりを示す「瀬戸茶入 銘孫六」や「梅花天目」が続き、さらには茶壺や菓子盆、懐石家具などを展示します。
 
 名物裂とは、中国の宋・元・明・清の時代に製織され、鎌倉・室町時代から江戸時代中期にかけて日本に渡来し、わが国の茶道をはじめ近世文化に影響を与えた織物類の固有名称です。金襴、緞子、間道に代表され、書画の表装裂や、名物茶道具の仕覆として用いられるなど、優れた鑑識眼をもつ茶人たちによって選択されました。
 前田家は名物裂の宝庫と言われ、それは三代藩主利常が、海外への窓口であった長崎へ家臣を遣わせ、買い集めたものです。利常はオランダへデルフト陶を注文するなど、文化大名としてのスケールの大きさがありましたが、この名物裂収集もその美意識のあらわれといえます。
 今回は、茶人たちに好まれた裂を中心とした30点による洗練された美の世界をお楽しみください。

作 品 名 員数 作家名等
1 観音羅漢像 1幅 白隠
2 小石畳地宝珠形鳳凰雲文様金襴(興福寺金襴) 1点  
3 双鳳丸文様金襴(二人静金襴) 1枚  
4 雲繋ぎ宝尽し文様金襴(富田金襴) 1枚  
5 作土形草花文様金襴(大鶏頭金襴) 1枚  
6 作土形花兎文様金襴(角倉金襴) 1枚  
7 雲珠繋ぎ鳥丸文様金襴(雲雀金襴) 1枚  
8 縞地八宝文様金襴(今春金襴) 1枚  
9 蓮池水禽文様金襴 1枚  
10 変り鱗地一重蔓牡丹唐草文様金地金襴 1枚  
11 一重蔓牡丹唐草文様金襴 1枚  
12 一重蔓牡丹唐草宝尽し文様金襴(大黒屋金襴) 1枚  
13 入子菱繋ぎ地二重蔓牡丹唐草文様金地金襴 1枚  
14 花葉松毬唐草文様緞子(笹蔓緞子) 1枚  
15 縞地梅花石畳宝尽し段替り文様緞子(伊予簾緞子) 1枚  
16 竜三爪唐草文様緞子(珠光緞子) 1枚  
17 花七宝入り石畳文様緞子(遠州緞子) 1枚  
18 流水梅花文様緞子(織部緞子) 1枚  
19 亀甲繋ぎ地梅花文様緞子 1枚  
20 雑宝入り石畳雲龍丸文様錦 1枚  
21 算くずしに輪宝文様風通(糸屋風通) 1枚  
22 縞格子文様間道(青木間道) 1枚  
23 格子文様間道(高木間道) 1枚  
24 段文様間道(日野間道) 1枚  
25 縞格子文様間道(船越間道) 1枚  
26 格子文様間道 1枚  
27 縞格子文様間道(弥兵衛間道) 1枚  
28 唐草段文様モール 1枚  
29 花唐草縞文様モール 1枚  
30 古瀬戸茶入 銘 孫六 1口  
31 玳皮盞天目茶碗(梅花天目) 1口  
32 尼ケ崎台 1基  
33 瀬戸花入 1口  
34 茶壷 銘 春の日 1口  
35 砂張銅鑼 1点 魚住為楽
36 青貝菓子盆 10枚の内5枚  
37 朱塗梅形菓子盆 7枚の内3枚  
38 堆朱山水図梅形喰籠 1合  
39 夕顔蒔絵懐石家具 1件  
 
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