特集 「ハレを描く日本画」
第6展示室
  平成24年1月4日(水)〜2月6日(月) 会期中無休     
 

  「晴れ舞台」、「晴れの門出」など今日普通に使われているハレという言葉。ハレとケは、柳田国男がその概念を見いだしてから今日まで、民俗学では重要な主題の一つとなっています。これまでも種々の論議を呼んでいますが、正月や祭りなどの儀礼は「ハレ(晴)」であり、その他の日常を「ケ(褻)」と区別することは論を待たないところでしょう。また漁村、武家、さらには宮廷においてもそれぞれのハレやケはありますが、主に農耕社会の年中行事が、ハレ・ケ・ケガレという循環型の時間概念を生んだとする説は有力です。

  ハレの日を設け、ケの日との違いを際立たせてきた、折り目ある生活や時間の流れに、美術はどう関係してきたのでしょうか。日本建築において「ハレの空間」ともいえる客間。中でも床の間に美術品を飾る事が定着したのは書院造りが広まった室町時代です。しかし江戸時代までは、そのような贅沢を一般庶民に禁じており、一般的にハレの日に床の間に掛け軸を飾るようになったのは明治以降といえるでしょう。

 今回の展示ではハレの日を飾った日本画。ハレの日を描いた日本画。そしてハレ以外の時間帯を描いた日本画も比較展示する小特集です。現代における生活スタイルの変遷は、ハレとケを混沌とさせていますが、お正月のひととき日本人が愛でた「ハレの美」をお楽しみ下さい。


     
作  品  名 作 者 名 制作年  
ハレの日を飾る
1 旭日稚松図 垣内雲りん 明治24(1891)  
2 東海第一山 川端龍子    
3 富士に群鶴図屏風 岸浪柳溪 明治  
4 松陰鴛鴦之図 紺谷光俊 昭和15(1940)  
5 蓬莱図 鈴木華邨 明治38(1905)  
6 富士山水図 玉井紅りん 大正  
7 日の出図 玉井紅りん    
8 富士に松図 山田敬中 大正  
9 松に白鷹図 吉田秋光    
ハレの日を描く
10 桜下人物図 紺谷光俊    
11 八百屋之図 紺谷光俊 大正3(1914)  
ケの日を描く
12 春雨山水図 垣内雲りん 大正  
13 五月雨 高村右暁 昭和  
14 田舎の朝 山下晧嶽 明治36(1903)  
コレクション展示
作  品  名 作 者 名 制作年 初 出 展 受 賞
1 石川 義 平成6(1994)

石川義展−杉の輪廻−

2 石川 義 平成6(1994) 石川義展−杉の輪廻−
3 上田珪草 昭和49(1974) 再興第59回院展
4 大地の女神 梅川三省 昭和57(1982) 再興第67回院展
5 坂根克介 平成21(2009) 第41回日展(改組日展)
6 送電柱 下村正一 昭和33(1958) 第1回日展(新日展)
7 夢想 百々俊雅 平成1(1989) 第21回日展(改組日展)特選
8 おぼろ夜 中町 進 昭和59(1984) 第16回日展(改組日展)
9 二人 中村 徹 昭和60(1985) 第17回日展(改組日展)
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