曹洞宗の名刹−大乗寺の名宝− 

 
第2展示室
 平成22年10月28日(木)〜11月28日(日) 会期中無休     


 加賀の古刹、大乗寺の文化財を紹介します。
 大乗寺は、加賀の守護であった富樫家尚(いえひさ)により鎌倉時代末の弘長元年(1261)、現在の野々市町に創建されました。真言僧の澄海を住寺させ、福井の永平寺から徹通義介を招いて禅寺としました。徹通禅師は開祖道元から数えて三代目にあたり、大乗寺が永平寺以外では最初に建てられた曹洞宗寺院であることから、「曹洞宗第二の本山」とも称されることになります。
 その後、永光寺・総持寺の開山でもある大乗寺二世塋山紹瑾(けいざんしょうきん)、三世明峰素哲(めいほうそてつ)の時期に基礎が築かれ、室町時代には足利幕府の祈願寺として寺領・屋敷が安堵されました。しかし一向一揆により保護者である富樫氏を失い、その一揆を平定した柴田勝家の兵火によって、堂宇も焼失してしまいました。
 二代藩主前田利長の時代に金沢木の新保(現在の金沢市本町)に移転・再興され、さらに家臣本多政重(まさしげ)により、本多家下屋敷の隣接地(現在の本多町)に移転します。その後、藩より与えられた現在の地に移転し、今日に続くことになるのです。
 現在、当館に一括寄託される大乗寺の文化財は古文書・絵画・工芸などですが、今回はそれらのうちより、重要文化財『佛果碧巌破関撃節(ぶつかへきがんはきゃくせつ)』(一夜碧巌集)、『支那禅刹図式』(寺伝五山十刹図)などを展示します。

番号 指定 名称 筆者等 時代 材質技法
1 重文 佛果碧巌破関撃節上・下(一夜碧巌集) 希玄道元 鎌倉13世紀 紙本墨書
2 重文 羅漢供養講式稿本断簡 希玄道元 鎌倉13世紀 紙本墨書
3 重文 三代嗣法書 徹通義介ほか 鎌倉〜南北朝14世紀 紙本墨書
4 重文 支那禅刹図式(寺伝五山十刹図)   鎌倉13世紀 紙本墨書
5   足利尊氏他 教書、安堵状 足利尊氏ほか 室町14〜16世紀 紙本墨書
6   綸旨 永正14年 勅願寺を賜う   永正14年(1517) 紙本墨書
7   希玄道元頂相 月舟賛 心岩 江戸17世紀 絹本著色
8 県文 開山 徹通義介頂相 菊堂祖英 永享6年(1434) 絹本著色
9 県文 3世 明峰素哲頂相   室町15〜16世紀 絹本著色
10   26世 月舟宗胡頂相   江戸18世紀 紙本著色
11   27世 卍山道白頂相   江戸18世紀 絹本著色
12   浄明院画像 月舟賛 本多政長 江戸17世紀 絹本墨画淡彩
13 県文 千体仏図   室町15世紀 絹本著色
14   十三仏図   室町16世紀 絹本著色
15   渡唐天神図 信甫 室町14〜16世紀 絹本著色
16   維摩居士図 矢田四如軒 江戸18世紀 紙本著色
17 県文 四季耕作図 伝狩野光信 桃山16〜17世紀 紙本金地著色
18   希玄道元の払子   鎌倉13世紀  
19   徹通義介の払子   鎌倉13〜14世紀  
20   瑩山紹瑾の払子   鎌倉14世紀  
21   蒔絵竹図硯箱(蓋裏 梅図) 五十嵐派 桃山〜江戸17世紀  
22   屈輪八角硯箱   明15世紀  
23   圓枕   鎌倉13〜14世紀  

古九谷
 番号  指定 作品名    制作年代   
1 重美・県文 色絵布袋図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
2 県文 色絵鳳凰図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
3 県文 色絵鶴かるた文平鉢 古九谷 江戸17世紀  
4 県文 色絵百花散双鳥図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
5 県文 色絵鶉草花図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
6   色絵石畳双鳳文平鉢 古九谷 江戸17世紀  
7   色絵海老藻文平鉢 古九谷 江戸17世紀  
8   青手牡丹図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
9   青手老松図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
10   青手松竹梅文平鉢 古九谷 江戸17世紀  
11 県文 青手樹木図平鉢 古九谷 江戸17世紀  
12   青手桜花散文平鉢 古九谷 江戸17世紀