特集 系譜で見る近代日本画   第6展示室
  平成22年10月28日(木)〜11月28日(日) 会期中無休     

  
 「日本画」という言葉が初めて公に使われたのは、明治15年にフェノロサが行った講演『美術真説』とされています。幕末から明治にかけて西洋から油絵を中心とした西洋的リアリズム絵画が移入され、日本の美術界に台頭し始めます。それに対抗する形でアメリカ人のフェノロサが、日本古来からの伝統的絵画スタイルを「日本画」(Japanese painting)と名付け、その長所を挙げ擁護したのです。
  「日本画」という呼称は、「西洋画」の対概念として出現したという経緯から、近代以降の作を指すのが一般的です。ところで「近代」という時代区分ですが、国によって違い、日本では通常、明治維新から第二次大戦までを「近代」と呼び、戦後から現在までは、「現代」としているようです。

  明治期以降、幕府御用絵師の狩野派をはじめ、四条派、土佐派など古来からの流派は徐々にその姿を消していきます。そのような中であえて「系譜」をテーマに取り上げてみました。
  石川においても北陸絵画協会や金城画壇の成立をみたこの時期は、画家たちが伝統と革新の狭間で表現の追求に情熱をかけていた時期といえます。
  明確な流派の区別が消えていこうとしていた近代において師弟のつながりはどのような役割を果たしたのでしょうか。石川ゆかりの作家を中心とした展示ですが、垣間見ることができればと思います。

  

No. 作品名 作者名 制作年 初出展受賞 形体
1 酔燕台翁 伊東深水 昭和35年 第11回日月社展 額装
2 古樹木兎図 今尾景年 大正10年頃   軸装
3 春さめ 上村松園 大正   軸装
4 春雨山水図 垣内雲りん 大正   軸装
5 雪中 梶田半古 明治    
6 山水図 梶野玄山 明治39年   6曲1双
7 薄雪 鏑木清方 昭和6年   額装
8 三味線 北野恒富 大正10年   額装
9 馬山斥候図 久保田米僊 明治30年   軸装
10 咆哮 木島桜谷 明治35年 第8回新古美術品展 6曲1双
11 こと 小林古径 昭和   軸装
12 龍田姫之図 紺谷光俊 昭和14年   軸装
13 牛遊之図 鈴木華邨 明治   軸装
14 五月雨 高村右暁 昭和   軸装
15 山の秋 玉井 敬泉 昭和5年 第11回帝展 額装
16 雨中帰漁図 玉井紅りん 大正   軸装
17 奥州安達がはらひとつ家の図 月岡芳年 明治   額装
18 阿蘇 西山英雄 昭和56年   額装
19 越の村里 原田太乙 昭和2年 第8回帝展 額装
20 遠征萬里 前田青邨 大正10年   軸装
21 美人の郊外写生 水野年方 明治   額装
22 安嶋雨晶 昭和初期   額装
23 田舎の朝 山下皎嶽 明治10年頃   額装
24 春秋山水図 山田敬中 明治40年   2対双幅
 
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