秋の優品選−書跡を中心に− 

 
第2展示室
 9月11日(土)〜10月24日(月)  会期中無休     


 今回は、展示作品の中から石川県指定文化財《手鑑》を紹介します。桃山時代に入ってから古筆の愛好熱が急激に高まりをみせ、この風潮に呼応して古筆を網羅するために手鑑が作られるようになりました。この手鑑は、聖武天皇から始まり松花堂昭乗・小堀遠州と続き、天皇・親王・公卿・歌人・武将・連歌師等が体系的に配列され、奈良時代から江戸時代初期にかけての書を一望することができます。集録数二七四葉という量もさることながら、美術的・資料的にも貴重な手鑑です。山川美術財団から石川県立美術館に寄贈されましたが、財団を設立した山川家にはいった経緯については未詳です。
 集録されている中では和歌関係が最も多く、経切などの仏書関係がそれに続きます。和歌では新古今集二十一葉、古今集十四葉、後撰集八葉で、他の手鑑に比べて新古今集と後撰集の集録が多い点が注目されます。また、しばしば当館の展示で紹介しているように、源氏物語の集録も十二葉あることも、この手鑑の大きな特徴です。成立年代も未詳ですが、江戸時代十七世紀末以降と考えられています。筆者、鑑定者、編集者、所蔵者の様々な思いが織りなす手鑑の世界を、この機会にご堪能ください。

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番号 指定 作品名 作者名 など 年代
1   春屋宗園墨跡 春屋宗園 室町〜桃山16〜17世紀1幅
2 志賀町文 赤壁図屏風 池野観了 江戸19世紀 6曲1双
3   琴棋書画図   江戸17世紀 6曲1隻
4 重文 後深草天皇宸翰御消息 後深草天皇 鎌倉13世紀 1幅
5 重文 後奈良天皇女房奉書   室町16世紀 1幅
6 重文 正親町天皇宸翰御詠草 正親町天皇 室町16世紀 1幅
7 県文 手鑑   奈良〜江戸8〜17世紀 1帖
8   鹿下絵和歌 本阿弥光悦 江戸17世紀 1幅

 古九谷
番号
作品名
1 県文 色絵鶉草花図平鉢 江戸17世紀 1口
2 県文 色絵鶴かるた文平鉢 江戸17世紀 1口
3 県文 色絵百花散双鳥図平鉢 江戸17世紀 1口
4 色絵牡丹文平鉢 江戸17世紀 1口
5 色絵花鳥図台鉢 江戸17世紀 1口
6 色絵宝尽鷺文平鉢 江戸17世紀 1口
7 色絵海老藻文平鉢 江戸17世紀 1口
8 県文 青手樹木図平鉢 江戸17世紀 1口
9 青手牡丹図平鉢 江戸17世紀 1口
10 青手老松図平鉢 江戸17世紀 1口
11 青手竹葉図平鉢 江戸17世紀 1口
12 青手松鳥図平鉢 江戸17世紀 1口