大名家の調度
前田育徳会
尊經閣文庫分館
 平成22年7月22日(木)〜9月7日(火) 会期中無休 


 前田育徳会が所蔵する調度品の中から、大名家に相応しい格式ある調度品を選んで約20件を展示します。書院の床を飾る絵画をはじめ、刀掛や碁盤・将棋盤さらには十三代前田斉泰に嫁いだ溶姫調度品等の漆芸品を中心とした内容です。

花鳥図  王若水筆
 三幅対の中幅に松竹梅と番の丹頂鶴を描き、左右幅にはそれぞれ春秋の季節を表す牡丹に禽鳥、菊に禽鳥が、確かな筆致と鮮やかな彩色で描かれています。花鳥画が意味する不老長寿や夫婦和合、子孫繁栄などを示す吉祥図として、大名家の書院飾りにふさわしい大幅です。作者は中国元時代の画家で、花鳥画を得意としました。

越中愛本橋図  佐々木泉玄筆
 この橋は、五代藩主前田綱紀により架けられた橋です。寛文元年(一六一六)、初めて江戸より金沢へ下る際に、黒部川が難所といわれ、しばしば氾濫し、橋が無くて村人や旅人が困っていることを知り、架橋を命じたのです。老臣たちは防備上や難工事に多額の経費に難色を示しますが、綱紀は人々の生活を重視したのです。長さ三十三間の美しい刎橋(橋脚を用いない工法)は翌年完成し、「愛本橋」と名付けられました。この綱紀の善政を讃えるため、後に加賀藩御用絵師佐々木泉景に描かせたものです。現在の橋は十二代目で、黒部市では旧愛本橋の復元を目的とした調査が進められているようです。

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作品名                   員数     制作年
1
鍾馗図  廣渡雪山筆  1幅  室町16世紀
2
越中愛本橋図  佐々木泉玄筆  1幅  江戸19世紀
3
文殊菩薩画像  伝弘法大師筆  1幅  南北朝14世紀
4
花鳥之図  王 若水筆  3幅  元14世紀
5
鷹狩図 夏の巻  六代梅田九栄筆  4巻のうち1巻  江戸18世紀
6
漆絵螺鈿草花文食籠  1合  明15世紀
7
箔絵花鳥文壺  1個  明16〜17世紀
8
青磁輪花平鉢 龍泉窯  1口  元〜明14〜15世紀
9
瑠璃地草花文平鉢 餅花手  1口  明16世紀
10
黒地若松蒔絵重箱  1重  江戸18〜19世紀
11
梨子地菊水蒔絵提重  1重  江戸18〜19世紀
12
黒塗薄蒔絵文台・硯箱  1具  江戸17〜18世紀
13
黒塗波千鳥蒔絵刀掛  1基  江戸19世紀
14
紫檀鷹蒔絵刀掛  1基  江戸18〜19世紀
15
青磁文字入壺  1口  元〜明14〜15世紀
16
業平菱牡丹紋散蒔絵碁盤  1脚  江戸18〜19世紀
17
業平菱牡丹紋散蒔絵碁笥・碁石  1対  江戸18〜19世紀
18
業平菱牡丹紋散蒔絵将棋盤  1脚  江戸18〜19世紀
19
業平菱牡丹紋散蒔絵将棋駒・箱  1対  江戸18〜19世紀
20
古銅座とん  1個  明16〜17世紀
21
唐物陶器座とん  1個  明15〜16世紀
22
黒棚 葵紋蒔絵調度品のうち   1基  江戸19世紀
23
大角赤手箱  1合  江戸19世紀
24
小角赤手箱  1合  江戸19世紀

 
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