古九谷・再興九谷名品展　　　

 　
第２展示室
　　平成２２年７月２２日（木）〜９月７日（火）　会期中無休　　　　　

　加賀藩三代藩主前田利常は、政治的に屈従を強いられた無念を晴らすかのように、文化政策において幕府に対抗心を燃やした大名でした。そして名品の収集や名工の招聘とともに利常が意欲的に取り組んだのが、江戸ではできない色絵磁器の生産でした。中国で確立された色絵磁器の技法は徐々に日本にも伝えられ、17世紀にはいると本格的な生産体制が整備されていきます。前田利常は有田地区の動向にいち早く注目し、人的交流によって技術の移転をはかり、やがて17世紀半ば、加賀南部の九谷の地に色絵磁器の生産拠点を確立します。そしてそれから約半世紀間に、今日古九谷と呼ばれている独創的な色絵磁器がそこで生産されます。
　古九谷色絵の特質は、豪放華麗な意匠感覚にあります。古九谷の色絵、青手の両様式には、中国の景徳鎮五彩や華南三彩の影響が認められますが、意匠感覚は斬新であり、日本や中国のみならず、西洋の文物も熱心に参照しています。こうした姿勢が前田利常の文化人としての「好み」であり、また幕府に対する反骨精神の表明と考えることができます。このように、古九谷の意匠は加賀の文化風土と密接に結びついて誕生し、若杉や吉田屋など再興九谷諸窯にも継承され、さらに明治時代以降今日に至るまで作家の精神的支柱となっています。

番号 指定 作品名 作者名　など 年代 学芸番号／所蔵者
1 県文 色絵布袋図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
2 県文 色絵鶴かるた文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
3 　 色絵松樹図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
4 　 色絵牡丹図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
5 　 色絵宝尽鷺文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
6 　 色絵海老藻文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
7 県文 色絵鶉草花図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
8 　 色絵花鳥図台鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
9 県文 色絵百花散双鳥図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
10 　 色絵軍扇散山水人物図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 石川県立工業高校
11 　 色絵鴛鴦流水図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
12 　 色絵亀甲流水図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
13 　 色絵四葉座十字文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
14 　 色絵壺割花鳥図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
15 　 色絵竹虎図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
16 　 色絵花鳥図九角平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
17 　 青手牡丹図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
18 　 青手老松図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
19 　 青手竹葉図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
20 　 青手松鳥図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
21 　 青手罌粟図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
22 　 青手松竹梅文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
23 県文 青手樹木図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
24 　 青手葡萄図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
25 　 青手竹図平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
26 　 青手菊文台鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
27 　 青手栗波文平鉢 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
28 　 青手栗波文輪花小皿 古九谷 江戸１７世紀 館蔵
29 　 色絵唐獅子牡丹図平鉢 若杉窯 江戸１９世紀 館蔵
30 　 色絵牡丹唐獅子図平鉢 若杉窯 江戸１９世紀 館蔵
31 　 色絵牡丹獅子図平鉢 若杉窯 江戸１９世紀 個人蔵
32 　 色絵割取草花山水図大皿 若杉窯 江戸１９世紀 個人蔵
33 　 色絵椿図六角瓢形徳利 若杉窯 江戸１９世紀 館蔵
34 　 色絵牡丹彫文瓢形徳利 若杉窯 江戸１９世紀 個人蔵
35 　 色絵牡丹唐草文水注 若杉窯 江戸１９世紀 個人蔵
36 　 色絵万年青図平鉢 吉田屋窯 江戸１９世紀 館蔵
37 　 色絵鶴文平鉢 吉田屋窯 江戸１９世紀 館蔵
38 　 色絵紫陽花図輪花鉢 吉田屋窯 江戸１９世紀 個人蔵
39 　 色絵麒麟図輪花鉢 吉田屋窯 江戸１９世紀 館蔵
40 　 色絵栃葉図深鉢 吉田屋窯 江戸１９世紀 石川県工業高校
41 　 色絵木瓜文膳組 吉田屋窯 江戸１９世紀 館蔵
42 　 色絵椿松竹梅文盃洗 吉田屋窯 江戸１９世紀 館蔵
43 　 色絵龍虎図平鉢 宮本屋窯 江戸１９世紀 個人蔵
44 　 色絵山水図平卓 粟生屋源右衛門 江戸１９世紀 個人蔵
45 　 色絵桐鳳凰草花文高卓 粟生屋源右衛門 江戸１９世紀 館蔵
46 　 色絵石畳文古九谷写平鉢 蓮代寺窯 江戸１９世紀 館蔵
47 　 色絵翡翠図平鉢 松山窯 江戸１９世紀 館蔵
48 　 色絵花鳥図平鉢 松山窯 江戸１９世紀 館蔵
49 　 色絵桐鳳凰文平鉢 松山窯 江戸１９世紀 館蔵
50 　 色絵草花文深鉢 正院焼 江戸１９世紀 個人蔵