旧前田邸を飾った近代絵画 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |
平成22年 4月25日(日)〜5月16日(日) |
本郷邸を新築し行幸啓を迎えるという14代利嗣侯の宿願を継いだ15代利爲侯は、日本館を明治38年に、西洋館を40年にそれぞれ新築し、43年7月に行幸啓を迎えることができました。 前田育徳会が所蔵するほとんどの西洋絵画は,この新築に合わせて西洋館の装飾用に揃えられたものです。洋館装飾学をフランスで学んだ野口駿尾に洋館の装飾を依頼し、そのアドバイスのもとで、東西美術文化の交流に寄与した富山県出身の林忠正が収集した洋画24点を購入しています。 今回展示する「緑野に三美人」(当館初公開)は、その中でも大作で、木陰でくつろぐ三人の婦人をやわらかな陽光が優しく包む、詩情豊かな作品です。作者のラファエル・コラン(1850〜1916)はフランスの画家で、パリの国立美術学校で、ブーグロー、カバネルに学び、1873年のサロンに出品した「眠り」が入選、画壇に登場しました。作風は、はじめ厳格なデッサンと明暗法を基調としたアカデミックなものでしたが、そこに印象派風の明るい外光描写を折衷し、大衆に広く受け入れられました。藤雅三、黒田清輝、久米桂一郎をはじめとして、パリでコランに師事した日本人画学生は多く、明治後期の日本洋画壇の形成に大きな影響を与えた画家です。また林忠正とも親しくしていた日本美術愛好家でもあり、浮世絵と自作の油彩画を交換したりもしています。そうした油彩画を中心に、行幸啓の記念事業として制作された「臨幸画巻」など17点を展示します。
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