書院を飾るII−絵画と調度−

 
前田育徳会尊經閣文庫分館
  平成22年4月1日(木)〜4月20日(火) 会期中無休     

  加賀藩前田家に伝わった文化財を公開展示する、前田育徳会尊經閣文庫分館の春の特集展示として「書院を飾る」を開催します。加賀百万石という大藩の藩主としての格式とも言える「文武両道」の精神を、今回展示する絵画や工芸から感じ取っていただきたい企画です。
  大名の公式行事に用いられた広間には、床の間・違い棚・付書院といった、さまざまな道具が飾られる専用の空間が備えられていました。これらの飾り付けに用いられた花生・香炉・文房具などの品々は、いずれも貴重な品ばかりでした。また床の間には大幅の絵画が飾られ、いかにも大藩の藩主の持ち物にふさわしい今回の展示をご堪能いただければ幸いです。
 蒔絵三十六歌仙花卉文提重
  提重とは、手に持って携行するために作られた組重箱のことを言います。屋外の宴に気軽に持ち運べる弁当箱の一つの形態として、桃山時代あたりから使われ始め、江戸時代に大いに流行したもので、豊臣秀吉の「吉野の花見」や「醍醐の花見」あたりから盛んになったと考えられます。
  この提重では、外枠の両側面を透彫としており、それぞれに18名ずつあわせて三十六歌仙を配しています。また天板には重ね色紙に源氏絵と柴垣に桜がそれぞれ蒔絵されており、内部には四段重箱や銀製の徳利、取り皿、引出などが納められ、それぞれに源氏絵や桜楓が表現されています。


  作品名 作家名等 制作年
1 林和靖・花鳥図 山本梅逸 江戸19世紀
2 観音羅漢像 白隠 江戸18世紀
3 源氏五十四帖画巻     明治19世紀
4 流鏑馬図 住吉廣長 江戸18〜19世紀
5 鷹狩図 六代梅田九栄 江戸18世紀
6 堆朱喰籠     明16世紀
7 青貝楼閣人物図喰籠     明15〜16世紀
8 青磁二重鉢     明16世紀
9 青磁八葉蓮華鉢     明16世紀
10 呉須赤絵平鉢     明17世紀
11 古九谷色絵中皿 古九谷 江戸17世紀
12 色絵市松文平鉢 古九谷 江戸17世紀
13 蒔絵三十六歌仙花卉文提重     江戸18〜19世紀
14 武田友月 江戸19世紀
15 梨子地松竹梅蒔絵脇息     江戸18〜19世紀
16 村梨子地剣梅鉢紋散し刀掛     江戸18〜19世紀
17 黒塗梅鉢蒔絵手箱     江戸17〜18世紀
18 霰蒔絵小挟箱     江戸17〜18世紀
19 銅龍形耳付花瓶       
20 七宝花菱蒔絵花台     江戸17世紀
21 纒糸瑪瑙一枝瓶       
22 白玉一枝瓶       
23 白玉小瓶       
24 青花鯉耳一枝瓶     明17世紀
25 黒塗布目引出絵替絵具箪笥 伝二代五十嵐道甫 江戸17世紀


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