加賀の俳人たち−軽妙な俳画の世界−

 
第2展示室
  平成22年4月1日(木)〜4月20日(火) 会期中無休     

 有名な「奥の細道」行脚(1689)の帰路、芭蕉は加賀へ立ち寄り、この地の俳人たちと交流したことから、加賀では蕉風(芭蕉を祖とする俳諧の流派)が興り、その没後も芭蕉を慕う俳人が続きました。本特集では、こうした加賀の俳人たちが記し、描いた「俳画」を紹介します。
  「俳画」とは、俳句に添えて描かれた絵画のことですが、即興ながらも機知に富み、滑稽味に溢れていることが特徴です。それは単に、俳句を絵画化したものではなく、ユーモアに満ちた俳諧の熟成とともに発展しました。優雅に洗練され、神前に奉納された連歌に対し、日常に即した道化の文芸である俳諧は、室町末期以降栄え、江戸時代に入ると「画」と「俳」の双方に秀でた人物が登場しました。
  例えば、俳人たちが慕った芭蕉の姿は、俳人たちによって歌とともに描かれました。その中のひとつ、芭蕉が詠んだ五句を千代尼が記し、その姿を甫尺が描いた一幅には、笠に杖を持って座す芭蕉のうしろ姿が描かれています。芭蕉は墨のみ、線のみで描かれており、その簡素な筆致から、蕉風の理念でもある「詫び」「寂び」をうかがうことができます。
  四季を詠んだ千代尼の句に、絵が添えられた『十二句貼交屏風』(表紙写真)も見事です。本特集では、こうした「俳画」を中心に、芭蕉の木像や所持した頭陀袋もあわせて紹介します。


No 指定 作品名 作者等 員数
1 温泉頌山中の句 芭蕉 1幅
2       芭蕉翁木像     1点
3       十二句貼交屏風 千代尼 6曲1双
4       文台 千代尼 1点
5       頭陀袋 芭蕉所持 1点
6       芭蕉の句画賛 千代尼賛・甫尺画 1幅
7       伊吹山自画賛 芭蕉 1幅
8       柴舟図自画賛朝霧の句 希因 1幅
9       朝顔図画賛 希因 1幅
10       炭斗の自画賛 時雨之句 珈凉 1幅
11       七夕画賛 珈凉 1幅
12       越路の記−渡り鳥− 珈凉 1巻
13       柳の自画賛 麦水 1幅
14       萩の画賛 蘭更 1幅
15       菊の句自画賛 樗良 1幅
16       人物自画賛 甫尺 1幅
17       発句集画賛画帖 樗良 1帖
18       四季画賛 甫尺 1巻
19       俳人画集(俳諧百一首図) 年風 12幅
20       高砂図画賛 梅室賛・芳中画 1幅
21       鯛・人物・梅室の文 梅室 3幅
22       夕涼みの句 大根の句画賛 蒼? 2幅
23       芭蕉翁像 蒼?賛・年風画 1幅
24     花の句画賛 甫立 1幅
 古 九 谷
1 色絵鳳凰図平鉢 古九谷    
2 青手桜花散文平鉢 古九谷    
3     青手罌粟図平鉢 古九谷    
4     青手老松図平鉢 古九谷    
5 色絵鶴かるた文平鉢 古九谷    
6     色絵宝尽鷺文平鉢 古九谷    
7 色絵布袋図平鉢 古九谷    
8 色絵鶉草花図平鉢 古九谷    
9     色絵花鳥図台鉢 古九谷    
10 色絵百花散双鳥図平鉢 古九谷    
11     色絵石畳双鳳文平鉢 古九谷    
12     青手竹図平鉢 古九谷    
13 青手樹木図平鉢 古九谷    
   □は石川県指定文化財

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