前田家の天神信仰と文房具 前田育徳会尊經閣文庫分館
  平成23年2月11日(金・祝)〜3月26日(土) 会期中無休     

「天神さま」と呼ばれ、親しまれる天満宮(天神社)の祭神・菅原道真。怨霊として恐れられることもありましたが、平安時代中頃以降、道真を祭神とする天神信仰の発生と広まりにともなって、多くの画像が作られ、江戸時代には学問の神としてさらに知られるようになりました。
前田家では藩祖利家の頃より、天神への信仰を行っていたと思われます。三代藩主利常は、菅原道真を祖と主張し、京都・北野天満宮を模した小松天満宮を建立するなど「天神さま」に深い崇敬を寄せました。つづく歴代の藩主も積極的に天神関係資料の収集を行い、領内においてもその振興が図られることになりました。
「天神画像」にはいくつかの種類がありますが、いずれも道真に関する説話に基づいたものです。大宰府へ送られる船中で、敷物がなく丸めた縄の上に座ったところ、あまりの惨めさに怒りが込み上げ、その表情を露にしたという「縄敷天神画像」。道真が中国へ渡り法衣を受けたという説話に基づき、中国風の装束を身に付け、梅の枝を持つようになった「渡唐天神像」などです。これらの姿は、「天神さま」が多様な神として親しまれた証であり、前田家が先祖として「天神さま」を崇めた理由も、こうした変化自在な姿に対する憧れだったのかもしれません。今回は6点の天神画像のほか、文人志向の高まりの中で尊重され、前田家の雅な趣味がうかがえる文房具を展示します。

  作品名 作家名等 制作年
1 胞輪天神画像   室町16世紀
2 渡唐天神像 月僊 江戸18〜19世紀
3 縄敷臨水天神画像   江戸17世紀
4 北野神前開眼菅公画像   江戸19世紀
5 縄敷天神画像     室町16世紀
6 瑪瑙石硯     宋10〜13世紀
7 破月起雲硯      
8 蕉白硯      
9 ゆう露硯      
10 七宝硯屏   明14〜17世紀
11 唐物塗箔入硯屏   明14〜17世紀
12 青貝五角筆軸     明14〜17世紀
13 阿蘭陀筆軸(高麗塗軸筆)    
14 瑪瑙石獅子筆架     明14〜17世紀
15 銅寝獅子筆架     明14〜17世紀
16 銅獅子筆架     明14〜17世紀
17 瑪瑙梅彫筆架      
18 白玉雲龍彫紫檀座墨床     明14〜17世紀
19 白玉雲龍彫墨床     明14〜17世紀
20 檀座白玉蓮等彫墨床       
21 紫檀象眼玉入墨床       
22 象牙獅子文鎮     明14〜17世紀
23 象牙車輪文鎮     明14〜17世紀
24 銅玉取獅子文鎮    
25 紅玉鈎文鎮    
26 白玉馬猿文鎮    
27 白玉ち龍鈎文鎮    
28 堆黒塗文鎮    
29 銅蟹文鎮    
30 紫檀撮み銀卦算    
31 真鍮卦算    
32 真鍮大卦算    
33 鼈甲製梅彫卦算    
34 銀鍍金翡翠形水滴   明14〜17世紀
35 白高麗上手水入    
36 角類梅花彫筆洗    
37 白高麗一葉式筆洗    
38 白磁秋海棠式筆点    
39 白玉水滴    
40 古銅水注    
41 蓮葉式白玉筆点    
42 紅水晶水滴    
43 青貝四角三重印籠   明16世紀
44 青貝蓮唐草文庫   明14〜17世紀

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