香りをかざる −現代の香道具 香炉・香合・香盆−
第5展示室
  平成23年1月4日(火)〜2月7日(月) 会期中無休     

 日本における香の歴史は古く、原料となる香木は仏教伝来とともに日本に伝わりました。主として儀式の際に用いられており、香木そのものが貴重であったことや、日常から非日常への転換を象徴するものとして用いられていたことから、香を焚いたり、香を入れるための器物には古くから美しい装飾が施されていました。
 平安時代に入ると、貴族たちの間で、宮廷遊戯である香合せ、空薫きや衣類に香を焚きしめる習慣が根づいたことで、より一層豪華で華麗な道具が作られるようになりました。香の種類も、香木をそのまま焚くだけではなく、現在私たちがよく目にする焼香や練香が考案され、世界でも類を見ない日本特有の文化的礼法、香道が成立しました。また日本文化の主軸をなす茶道でも、香が重要な位置を占めていたことで、現在に至るまで、工芸技術の粋を集めた香の道具が作られています。
  明治時代以降、日本人の生活様式が大きく変化し、近代から現代の工芸作家たちの作品は、香道、茶道などの伝統的な技芸、礼法などの道具に多くみられるようになりました。
 今回の展示では、香の道具、とくに香炉、香合、香盆の優品を集めました。生活を彩る香り、その香りに花を添える美しい工芸品の数々から、ご覧いただいた方々が、作家たちやこれらの作品を使う人々の豊かな感性を感じ、日本独自の文化である香を見つめ直していただくことができれば幸いです。

  分野 作家名 作品名 制作年 展覧会・受賞 数量
1 漆工 松田権六 千鳥蒔絵香合 昭和45(1970)   1合
2 漆工 三谷吾一 鳥香合 昭和54(1979) 第4回石川県工芸作家選抜美術展 1合
3 漆工 奥出寿泉 乾漆香盆 昭和20世紀   1枚
4 漆工 佐治賢使 螺鈿からたち香盒 昭和16(1941)   1合
5 漆工 寺井直次 りんどう蒔絵香合 平成7(1995)   1合
6 漆工 寺井直次 木菟蒔絵香合 平成5(1993)   1合
7 漆工 寺井直次 椿蒔絵香合 平成8(1996)   1合
8 漆工 寺井直次 梅蒔絵香合 平成8(1996)   1合
9 漆工 村上九郎作 堆朱布袋図香合 大正5頃(c.1916)   1合

10

人形 下口宗美 楠材金彩民家香合 昭和44頃(c.1969)   1合
11 漆工   蒔絵孔雀図香合 明治20世紀   1合
12 漆工 初代笹田月暁 蒔絵草花文盆 大正6(1917)   1枚
13 截金 西出大三 木彫截金香の匣「みくまの」 昭和42(1967)   1合
14 截金 西出大三 截金彩色蓮華香盒 昭和50(1975)   1合
15 截金 西出大三 木彫截金香盒「夕顔」 昭和56(1981)   1合
16 截金 西出大三 截金香盒「蓬生」 昭和57(1982)   1合
17 陶磁 石黒宗麿 白地黒絵香炉 昭和10(1935)   1基
18 陶磁 板谷波山 青磁香炉     1基
19 陶磁 北出不二雄 色絵更紗竹文香合 平成5(1993)   1合
20 金工 金岡宗幸 砂張小田巻香炉 昭和46(1971)   1基
21 陶磁 松原新助 白磁龍鳳凰透彫香炉 明治21頃(c.1888)   1基
22 金工 八代水野源六 金銀象嵌雪に鷹図香炉 明治19世紀   1基
23 金工 米沢弘安 金銀象嵌紅葉狩図香炉 昭和8頃(c.1933)   1基
24 金工 山尾次吉 金銀象嵌唐草文香炉 明治43頃(c.1910)   1基
25 陶磁 二代浅蔵五十吉 香炉「歳寒三友ノ壺」 昭和20世紀   1基
26 金工 銅器会社 金銀象嵌兜香炉 明治10(1877)   1基
27 金工 髙橋介州 神韻大香炉 昭和22(1947) 第2回日展 1個
28 金工 高橋介州 絹の道伏香炉 昭和20世紀   1個
29 金工 髙橋介州 加賀象嵌鴛鴦香炉・香合 昭和15(1940)   1基
30 漆工 吉田楳堂 鎌倉彫松文盆 昭和19(1944)   1枚
コレクション展示
31 陶磁 北出塔次郎 色絵開春図飾皿 昭和35頃(c.1960)   1枚
32 陶磁 北濱芳恵 雪景 平成12(2000) 第23回伝統九谷焼工芸展大賞 1枚
33 陶磁 六代清水六兵衛 金彩老梅水指 昭和38(1963)   1枚
34 陶磁 初代諏訪蘇山 梅透彫花瓶 大正   1個
35 陶磁 高木松生 金襴手花器「雪の朝」 平成6(1994) 第17回伝統九谷焼工芸展 1個
36 陶磁 中村研一 紅梅図皿 昭和31(1956)   1枚
37 陶磁 中村翠恒 紫粉釉瑞鳥壺 昭和38(1963)   1個
38 陶磁 中村陶志人 待春 平成20(2008) 第31回伝統九谷焼工芸展優秀賞 1個
39 陶磁 森 一正 色絵花鳥図中皿 昭和19(1944)   1枚
40 漆工 佐藤幸一 冬の朝 昭和59(1984) 第6回日展(改組日展) 2曲1隻
41 漆工 初代笹田月暁 蒔絵南天図硯箱 大正10(1921)   1合
42 漆工 新村撰吉 梅花文蒔絵筥 昭和20頃(c.1945)   1合
43 染織 木村雨山 染織馬二曲屏風 昭和13(1938)   2曲1隻
44 染織 木村雨山 友禅黒地吉祥文振袖 昭和22(1947)   1枚
45 染織 木村雨山 友禅赤地吉祥文瓜袖 昭和27(1952)   1枚
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