特別陳列 前田家の渡来織物好み    
 前田育徳会尊經閣文庫
  平成21年10月29日(木)〜11月25日(日) 会期中無休     

《名物裂》中国の宋・元・明・清の時代に製織され、鎌倉・室町時代から江戸時代中期にかけて日本に渡来し、わが国の茶道をはじめ近世文化の成立に影響を与えた織物類の固有名称です。その種類は、金襴、緞子、間道、錦、風通、繻珍、ビロ−ド、印金、モ−ル、更紗などがあります。書画の表装裂や、名物茶道具の仕覆として用いられ、当時の優れた鑑識眼をもつ茶人たちによって選択されたものです。
《前田家と名物裂》三代藩主前田利常が、寛永14年(1637)、当時唯一の海外への窓口であった長崎へ家臣を遣わせ、買い求めさせたといわれています。利常は、オランダへデルフト陶のやきものを注文するなど、文化大名としてのスケールの大きさがありましたが、この名物裂収集もその美意識のあらわれといえましょう
《小堀遠州と名物裂》茶の湯にも関心を寄せていた利常は、遠州との交流も深く、茶器の購入を相談したり、点前や道具について遠州に教示を受けています。遠州は名物裂帖「文龍」を作製しています。これは名物茶道具に用いた「好み裂」の裁ち残りを、そのまま見本として保存したもので、名物裂の名を生じさせた根本資料ともいえるもので、遠州によって確立された「好み裂」の美の基準が、後世の名物裂の基準となっています。

《展示作品》金襴、緞子、錦、間道など38点を展示しますが、異国情緒あふれる文様が華やかな金襴で表された見事な「騎羊人物椿梅折枝文様金襴」や、幾何学文様11点含まれています。利常と遠州という二人の茶人によって生まれたと言っても過言ではない、洗練された美の世界をご堪能下さい
番号
 作品名
数量
制作年
1
騎羊人物椿梅折枝文様金襴
1巻
明14〜17世紀
2
鹿文入り変り角繋ぎ文様錦(有栖川錦)
1巻
明16〜17世紀
3
金入有栖川裂(雲龍文)
1巻
明16〜17世紀
4
有栖川錦(走馬文)
1巻
明16〜17世紀
5
萌黄地一重蔓花唐草尽し繍絹
1巻
明16世紀
6
白地草花獅子蛇文様金華布
1巻
インド17世紀
7
龍に蓮獅子文様金入天鵞絨
1巻
明14〜17世紀
8
小格子縞木綿
1巻
18世紀
9
竪縞木綿 今照気
1巻
16世紀
10
竪縞木綿
1巻
18世紀
11
撚糸金銀モール(花唐草文様金銀モール)
1巻
18世紀
12
富田丹地雲金襴
1枚
宋10〜13世紀
13
白地大燈金襴
1枚
宋10〜13世紀
14
大鶏頭金襴
1枚
宋10〜13世紀
15
萌黄石畳金襴 大徳寺金襴
1枚
明14〜17世紀
16
針屋金襴
1枚
明14〜17世紀
17
雲雀裂浅黄鳥丸金襴
1枚
明14〜17世紀
18
今春裂金襴
1枚
明14〜17世紀
19
紺地鴛鴦金襴
1枚
明14〜17世紀
20
紺地牡丹金地金襴
1枚
明14〜17世紀
21
萌黄中蔓金襴 南禅寺金襴
1枚
明14〜17世紀
22
金地大唐草金襴 かな地古金襴
1枚
明15世紀
23
茶地二重蔓古金襴
1枚
明14〜17世紀
24
蜀金金襴
1枚
明14〜17世紀
25
紺地花紋緞子
1枚
明14〜17世紀
26
伊豫簾緞子
1枚
明16〜17世紀
27
本能寺裂緞子
1枚
明14〜17世紀
28
紺地梅緞子 葛城手
1枚
明14〜17世紀
29
万暦緞子
1枚
明16〜17世紀
30
石畳花紋緞子 上代緞子
1枚
明14〜17世紀
31
石畳宝尽金入錦
1枚
明14〜17世紀
32
糸屋輪宝風通
1枚
明14〜17世紀
33
青木広東 小松広東
1枚
明14〜17世紀
34
青木類広東
1枚
明14〜17世紀
35
高木広東
1枚
明14〜17世紀
36
弥兵衛広東 海老殻縞
1枚
明14〜17世紀
37
金モール
1枚
18世紀
38
銀糸段織モール
1枚
18世紀