特集 1950年代、日本画のうけた風    
 第6展示室
  平成21年10月29日(木)〜11月25日(日) 会期中無休     

 戦後の日本では、アメリカや西欧の抽象表現主義が昭和30年代を前後して海外から(非定型)が紹介されたこともあり、抽象表現が全盛を迎えます。そのようなアンフォルメルの風が影響を与えたのはは洋画に限ったことではありませんでした。伝統を踏まえた日本画の画法や材質と抽象表現は相容れない、という主張を覆すように、その風は日本画にも影響を大きく与えました。
  しかし、抽象表現が流行ったといっても、その源は深く、主義や方法も多岐にわたるわけですから、一朝一夕に「日本画に取り込む」というわけにはいかなかったようです。いわば独立した抽象絵画を制作した日本画家もいましたが、具象表現に幾何学的構成を取り入れた表現をする画家も多かったようです。また、多くの日本画家がこの時期、抽象表現と従来の日本画的表現に悩み、葛藤していたことは事実です。
  今回の特集は当館所蔵作品のうちから、その当時1950年代の作品を中心に抽象表現に影響を受けたと思われる作品とその前後の作品を比較陳列し、抽象表現が日本画に与えたものを鑑賞者自身の眼で感じ取っていただきたいと思います。

No. 作品名 作者名 制作年 初出展受賞 形体
1 防波壁のある家 石川  義 昭和29 第10回日展 額装
2 冬の水路 石川   義 昭和31 第8回京展 額装
3 山里 石川  義 昭和55 第12回改組日展 会員賞 額装
4 坂に建つ街 山本 知克 昭和29 第10回日展 額装
5 河のある街 山本 知克 昭和53 第10回改組日展 額装
6 室蘭 平桜 和正 昭和31 第12回日展 額装
7 静映 平桜 和正 昭和47 第4回改組日展 額装
8 津軽 平桜 和正 平成1 第21回改組日展 額装
9 牡丹 藤井 観文 昭和24 再興第34回院展 屏風
10 藤井 観文 昭和29 再興第39回院展 額装
11 澄秋 畠山 錦成 昭和33 第1回新日展 額装
12 椿寿 畠山 錦成 昭和60 第17回改組日展 額装
13 送電柱 下村 正一 昭和33 第1回新日展 額装
14 黄樹のある風景 下村 正一 昭和35 第3回新日展 額装
15 下村 正一 昭和60 第17回改組日展 額装
16 安嶋 雨唱 昭和   額装
17 安嶋 雨唱 昭和37 第5回新日展 額装
18 残照 曲子 光男 昭和33 第1回新日展 額装
19 岸壁 曲子 光男 昭和37 第6回新日展(昭和38年) 額装
20 秋韻 曲子 光男 昭和58 第15回改組日展 額装
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