追悼　石川　義 氏
　去る９月１２日に日本画家、石川義氏が逝去されました。氏の生前の画業に敬意を表しますとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。
　昭和５年に石川県金沢市に生まれ、金沢美術工芸短期大学で日本画を学び、在学中に日展に初入選。画塾・東丘社に入塾し、堂本印象に師事しました。大学を卒業後は京都にて画家としての活動を開始。主に日展を中心に活躍した氏は、日展日本画壇の一翼を担う重要な存在となります。そして２５年在籍した東丘社を退会した後、日本画の研究グループ「玄」を結成。作品制作で新しい試みを旺盛に展開するとともに、後進の育成にも尽力しました。
　作品テーマに目を向けると、氏は自然と真摯に向かい合う「風景画家」でもありました。日本に現存する貴重な自然や風景を画題とし、それを各地に求め、スケッチに歩いたのでした。その画業の集大成として当館での回顧展「−日本の自然・原風景を描く−郷土が生んだ日本画家　石川義展」が平成１９年に開催されました。
　また、平成１７年には当館に大変多くの作品を御寄附いただきました。写生９点を含む７９点の寄附作品は、当館日本画コレクションの核ともなり、今後のコレクション展示に厚みと幅を持たせてくれたことは、いうまでもありません。今後とも氏の画業を後世に伝えていく使命を痛感する次第です。