特別陳列 動物彫刻 


 
第4展示室

 平成21年9月26日(土)〜10月25日(日) 会期中無休     

  動物をテーマとする美術造形では、「動物美術」とでも称すべき小ジャンルが成立するほど多彩な展開がみえるものとなっています。そこでは主に動物そのものをモチーフとした造形と、人と動物の係わりのなかにおいて造形化されたものとに大きく分かれるようです。
 本展では近代以降の彫刻作品の中から、様々な動物彫刻をご覧いただきます。第一部では様々な動物をモチーフとした立体造形を眺めるもので、各動物独自のフォルムの面白さや造形美の表現を試みた動物彫刻作品を眺めます。また第二部では、動物と人間及び、人間の生活・社会との係わりの中で見られる人と動物が組み合わさってできる動物彫刻をご覧いただきます。
 第一部「動物彫刻の美 〜フォルムと表情」の「身近な動物」コーナーは、犬や猿など身近な動物の愛くるしい表情を捉えた作品が中心です。「動きを捉えて」コーナーは主に、自然界や動物園などでみる動物を中心に、各動物独自のフォルムと一瞬の動きを巧みに捉えた造形が中心です。「動物の造形」では各動物をモチーフとして各作家が様々な表現を試みた動物彫刻をご覧下さい。
 第二部「人と動物〜動物造形にみるヒトの暮らしと文化」の「動物のいる風景」コーナーでは生活の中での人と動物の多様な係わりを眺めます。「祈りと動物」では宗教美術を中心に登場する空想上の動物を含めた展示です。「動物と物語」は動物が登場する物語の一場面や動物に係るロマンある造形をご覧いただきます。「沼田一雅と動物陶彫」は彫刻家であり、また我が国近代陶彫の創始者である沼田一雅の作品をお楽しみください。

 動物を象った作品は古くから見え、絵画や彫刻のほか工芸品の装飾としても多彩な展開が見えます。また表される動物の種類や表現は、各民族や居住の自然・生活環境、歴史・文化・宗教の影響を色濃く反映しています。動物の造形とは人との係わりの中で表されて来たものといえましょう。しかしルネサンス以降、自然主義の復興とともに自然科学が発展し、大航海時代には新たな動植物が紹介されると動物の表現は、それまでの固定的・象徴的なものから科学的でリアルな表現へと変化が見えるようになり、新たに動物造形のジャンルが興りました。動物造形は狩猟や乗馬など限られたテーマのものからペットを含めた新たな表現としての展開が見られるようになります。

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作品名称 員数 制作者 制作年代 材質
第1部 動物彫刻の美 〜フォルムと表情
身近な動物
1 1対 石川光明 明治 19〜20世紀
2 青銅猿置物 1組 沼田一雅 (明治 19〜20世紀) ブロンズ・木
3 1点 海野美盛 明治 19〜20世紀 ブロンズ
4 1点 山本力吉 昭和 20世紀
5 1点 吉田三郎 昭和4年(1929) ブロンズ
6 鹿 1点 都賀田勇馬 昭和14年頃 c.1939 ブロンズ
7 1点 都賀田勇馬 昭和4年(1929) ブロンズ
8 1点 西田一成 昭和51年(1976)
動きを捉えて
9 獅子 1点 相川松濤 明治〜昭和 19〜20世紀
10 咆哮 1点 進藤武将 昭和49〜53年頃 ブロンズ
11 黒豹 1点 横山豊介 昭和48年(1973)
12 とら 1点 吉田三郎 明治〜昭和 20世紀 ブロンズ
13 曠野 1点 吉田三郎 昭和36年(1961) ブロンズ
14 駝鳥(2) 1点 昭和35年(1960) ブロンズ
15 七面鳥 1点 昭和8年(1933) ブロンズ
16 兎(1) 1点 昭和10年(1935) ブロンズ
17 兎(2) 1点 昭和35年(1960) ブロンズ
18 日溜り 1点 昭和26年(1951) ブロンズ
19 春日 1点 昭和32年(1957) ブロンズ
20 老猿 1点 昭和28年(1953) ブロンズ
21 1点 昭和26年(1951) ブロンズ
動物と造形
22 軍鶏 1対 長谷川八十 昭和52年(1977) ブロンズ
23 道標 鴉 1点 柳原義達 昭和53年(1978) ブロンズ
24 元武 1点 松村外次郎 昭和54年(1979) ブロンズ
25 朱雀 1点 昭和55年(1980) ブロンズ
26 白虎 1点 昭和60年(1985) ブロンズ
27 1点 昭和31年(1956)
第2部 人と動物 〜動物造形にみる人の暮らしと文化
動物のいる風景
28 山羊を飼う老人 1点 吉田三郎 昭和18年(1943) ブロンズ
29 風景の中の竪琴 1点 吉田 隆 昭和62年(1987) ブロンズ
30 大将の椅子 1点 富永直樹 昭和60年(1985) ブロンズ
31 人と鳥 1点 長谷川八十 昭和54年(1979) FRP
32 人と羊 1点 昭和54年(1979) FRP
33 満州風景(1) 1点 吉田三郎 昭和32年(1957) ブロンズ
34 満州風景(2) 1点 昭和33年(1958) ブロンズ
35 収穫 1点 昭和22年(1947) ブロンズ
祈りと動物
36 鳳凰 1対 松村秀太郎 (大正13年 1924) ブロンズ
37 狛犬 1対 大塚秀之丞 大正 20世紀 ブロンズ
38 文殊菩薩 1点 沼田一雅 (明治 19〜20世紀) ブロンズ
39 寿老人 1点 吉田三郎 昭和25年(1950) ブロンズ
動物とものがたり
40 人魚 1点 松田尚之 昭和44年(1969) ブロンズ
41 見果てぬ夢(ドンキホーテ) 1点 清水良治 平成15年(2003) ブロンズ
42 歌郷 1点 尾形喜代司 昭和51年(1976)
43 聖牛 1点 大内青圃 昭和49〜53年頃 ブロンズ
沼田一雅と動物彫刻
44 象(陶彫) 1点 沼田一雅 昭和 20世紀
45 親子鶴(陶彫) 1点 昭和 20世紀
46 馬(陶彫) 1点 昭和 20世紀
47 胡砂の旅(陶彫) 1点 昭和 20世紀
48 栗鼠(陶彫) 1点 昭和 20世紀
49 栗鼠 1点 (明治19〜20世紀) ブロンズ
50 小動物作品 1件 吉田三郎 (昭和 20世紀) ブロンズ・石膏